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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Passage...Lost』
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でキモい訳よ」


 下半身を、上半身を。爆風の余波で四肢を失っても尚、屍食鬼(グール)どもは躙り寄ってくる。
 素早い動きこそ、傍観していた個体と爆発に巻き込まれた個体のみだが。より一層、化け物の度合いを増した屍食鬼(グール)どもに辟易した眼差しを向けて。


《ほう、どうやらただの屍食鬼(ぐーる)ではないのう……死体に死霊を憑依させたものか》
(その心は?)
《体を消滅し尽くさぬ限り不死じゃ、微塵に刻んだところで動くぞ》
(また、面倒な……)


 痛む左腕を誤魔化すように、力を籠めて刀を握る。握り締めて、右腕を見遣る。数日前、『二つの異能』を振るった右腕を。
 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()


──あの時の異能ならば……あれならば、コイツらも消滅させられるだろう。魂までも凍り腐らせる絶対零度の右撃(アヴソリュート=ゼロ)と、魂までも焼き尽くせる無限熱量の右撃(インフィニット=ヒート)で。
 この二つなら、殺してやれる筈だ……この哀れな骸どもを。きっと確かに、きっと速やかに──────殺して、やれるんだ。


 そんな、希望的観測を持って見詰めて。直ぐに、馬鹿馬鹿しいと改めて。


《では、使うかのう? 貴様が呼べば、()()()()は来よう》


 掛けられたその声に、拭いきれぬ悪心を。焼き尽くすかのような邪悪を、背後に感じながら。右腕を、握り締める。殺す為の腕を。救う事など有り得ない、ただ奪う為の右腕────混沌の右撃(ザーバウォッカ)を。


(いや)、有り得ない。たった二回しか使えない術なんて、()()()()()()()()()()()使()()()()
《ふむ……では、どうする? あれを殺しきるなど、至難の技ぞ?》
(ハッ────不死身を殺す方法なンざァ、()()()()()()()()
《成る程、道理じゃな》


 長谷部の柄を握り締めて、浅はかな考えを捨てる。分かりきっている事だ、『英雄(ヒーロー)』ではなく『悪鬼(ヒール)』である己に、そんな自己犠牲で得られるものなど有りはしない。
 まだ、敵が五体とは確約されていない。だから、ここで無駄撃ちして後々必要な時に役立たずでは、目も当てられまい。


「………………………………」
Grrrr(グゥルルルルルルルル)…………!」


 隙無く刀を構え、|屍食鬼《グール
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