第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Passage...Lost』
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でキモい訳よ」
下半身を、上半身を。爆風の余波で四肢を失っても尚、屍食鬼どもは躙り寄ってくる。
素早い動きこそ、傍観していた個体と爆発に巻き込まれた個体のみだが。より一層、化け物の度合いを増した屍食鬼どもに辟易した眼差しを向けて。
《ほう、どうやらただの屍食鬼ではないのう……死体に死霊を憑依させたものか》
(その心は?)
《体を消滅し尽くさぬ限り不死じゃ、微塵に刻んだところで動くぞ》
(また、面倒な……)
痛む左腕を誤魔化すように、力を籠めて刀を握る。握り締めて、右腕を見遣る。数日前、『二つの異能』を振るった右腕を。
生まれるより早く、約束されていた右腕を。
──あの時の異能ならば……あれならば、コイツらも消滅させられるだろう。魂までも凍り腐らせる絶対零度の右撃と、魂までも焼き尽くせる無限熱量の右撃で。
この二つなら、殺してやれる筈だ……この哀れな骸どもを。きっと確かに、きっと速やかに──────殺して、やれるんだ。
そんな、希望的観測を持って見詰めて。直ぐに、馬鹿馬鹿しいと改めて。
《では、使うかのう? 貴様が呼べば、あの双子は来よう》
掛けられたその声に、拭いきれぬ悪心を。焼き尽くすかのような邪悪を、背後に感じながら。右腕を、握り締める。殺す為の腕を。救う事など有り得ない、ただ奪う為の右腕────混沌の右撃を。
(否、有り得ない。たった二回しか使えない術なんて、敵の全容が計れない今は使えない)
《ふむ……では、どうする? あれを殺しきるなど、至難の技ぞ?》
(ハッ────不死身を殺す方法なンざァ、他に幾らでもある)
《成る程、道理じゃな》
長谷部の柄を握り締めて、浅はかな考えを捨てる。分かりきっている事だ、『英雄』ではなく『悪鬼』である己に、そんな自己犠牲で得られるものなど有りはしない。
まだ、敵が五体とは確約されていない。だから、ここで無駄撃ちして後々必要な時に役立たずでは、目も当てられまい。
「………………………………」
「Grrrr…………!」
隙無く刀を構え、|屍食鬼《グール
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ