第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Passage...Lost』
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複雑で老獪な『狩り』だった。
「こんのぉ!」
先ず、拳銃を手にするフレンダが反応した。『ベレッタM93R』を学園都市の技術で改良した『ベレッタM93R2“ブリキの木こり”』……銃口の跳ね上がりを電子制御で抑えた、三点射で弾幕を可能とする機関拳銃を放つ。
まるで木こりの電動鋸のような、そんな音が響いて。戦いに慣れた彼女は数に惑わされずに最も近い一体のみを狙って、見事に捉えた。
「ちょ、何よコイツ、効いてない?!」
だが、全くもって屍食鬼には通じていない。曲がりなりにも『鬼』か、その生護謨じみた肌は銃弾を受けても尚、貫かれる事なく弾き返して。
射撃を受けたその一体が、反撃とばかりに牙と爪を剥いて躍り掛かる。血肉と臓腑のこびり付いた、不潔極まる野獣の武器を振りかざして。弾切れになった拳銃を楯にするかのように、フレンダは身構えて。
「────犬ッコロが、俺より先に手ェ出してンじゃねェ!」
「っ……ジャ、嚆矢!?」
《チッ────貸しにしておくぞ、嚆矢!》
それを、長谷部の白刃で受ける。受け止めた汚穢の爪牙に、“悪心影”が反吐を吐いて。
「────失せろ!」
「ギ、ガへ!?」
その勢いのまま、刀を振り抜く。夜闇に火花を散らしながら、牙と爪を斬り裂いた長谷部は屍食鬼の親指以外と上顎から上を跳ばして。
間違いなく、誰がどう見ても致命傷だ。後は、その末期を見届けるだけで。
「────Geaaaaaaa!」
「なァ、にィッ!?」
その状態で黒く濁った血飛沫を撒き散らしながら、屍食鬼はゴリラのように強靭な腕を振るう。全くの予想外、辛うじてそれをショゴスの自律防御が受け止めた事で左腕の打撲程度の外傷に収まった。
「チッ────超気ィ抜いてンじゃねェですよ!」
瞬間、最愛が屍食鬼を殴り飛ばした。その隙に、三体の屍食鬼が彼女に向けて躍り掛かって。
「図に乗ってンじゃ────」
「────無いって訳よね!」
それを嚆矢はショゴスの中から引き出した火縄銃の『炮烙火矢・震天雷』で、フレンダはスカートの中から引き出した棒付榴弾の『携行型対戦車ミサイル』で、其々撃ち落として。
その爆風で、残りの一体も吹き飛ばされる。しかし、直撃を受けた個体以外は無傷らしい。
「Grrrr…………」
「うげ……結局、マジ
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