第十一話 実質的に初の暗部活動
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「何か用?」
俺は人通りの少ない場所で振り向きざまに言ってみる。取り敢えず、尾行はばれてるんだぞということを行動で示してみたのだ。相手が出てくればなぜ俺を尾行してたのか聞き出すつもりだし、隠れたまま出てこなければ空間移動魔法などを使って捲いてしまうか、もしくは相手の後ろに出るというのも面白いかもしれない。
「結局ばれてるって訳よ」
なんと、出てきたのは金髪の美少女……でいいのか? まぁ、暗部組織『アイテム』のフレンダである。
「で……もう一人は?」
俺はもう一度声をかける。相手がアイテムなら当然メンバーは4人、現在尾行しているのは2人であり、フレンダのすぐ近くの俺から死角になる場所にもう一つの気配があるのだ。
「へー、なかなかやるじゃない」
出てきたもう一人はアイテムのリーダー、麦野沈利だった。確か、ビルから出た時には4つの気配があったので、その4つがアイテムの4人であることは間違いないだろう。しかし、現在のところ感じる気配は目の前の2人だけ、あとは滝壺さんと絹旗さんがどこかに居るはずなんだけど……。
「それで、何の用ですか? ビルの中からもう30分以上も後ろをついてこられると、なんか気味悪いですよ。それからあと2人はどうしたんですか?」
まぁアイテムなんだし、多分俺が暗部に入ったことを嗅ぎつけて、俺がどんな奴なのかを確認したかったとか、もしくは実力がどの程度あるのか確認したかったといったところだろう。
「へぇ、思った以上じゃないか。体晶なんて使わなくても結構やれそうじゃない」
麦野さんがニヤリと笑いながらつぶやいた。恐らく俺には聞こえないように、なおかつフレンダには聞こえるようにしたつもりなのだろう。しかし、俺の聴覚は普通の人の倍ぐらいは良くなっているのだ。当然聞こえていたのだが、麦野さんの言葉には引っかかるものがあった。それは『体晶』という単語である。
「体晶?」
思わず口に出してしまったが、体晶というのは滝壺さんが能力を使う際に使用する、能力を意図的に暴走させる為に使用する薬みたいな物である。
「なっ、テメェ! 聞こえてたのかっ!」
「まぁ、耳はいいほうなんで」
麦野さんが睨みつけてくるが、俺は普通に受け答える。
「それなら私らの言いたいことも分かっちゃったかにゃーん?」
何故か急に余裕の表情を作った麦野さんが聞いてくるが、体晶という単語が聞こえたぐらいで俺に分かるわけがない。
「はぁ?」
「おいおい、ここまで来てシラを切るつもりかぁ!?」
思わず口をついて出た俺の言葉に、今度はいきなり脅してくる麦野さん。
「いや、そもそも用件を言ってもらわないと分からないですって」
さすがにこのままでは話が進
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