3部分:第三章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
。
身体つきは胸が大きく腰もしっかりとしている。その姿が白い服からはっきりと出ている。何処か神経質そうだがそれでいて豊かな自信が窺える表情だった。その女神がここで言うのであった。
「私もそう思います」
「おおヘラ、そなたもそう思うのだな」
ゼウスもだ。彼女の言葉に笑顔で頷く。
「人とは我々と同じく複雑なものだと」
「人間は私達に似せて創ったものですから」
だからだと話すヘラだった。
「ですから。貴方を見てもわかります」
「私を?」
「真面目にそうした賢明なことを仰るかと思えば」
見ればだ。ヘラの目が冷たいものになっていた。その目で夫である主神を見ながらだ。彼と周囲に対してだ。話をするのだった。
「女神やニンフや人間の美女を口説くのですから」
「おい、ここでそれを言うのか」
「言います。全くこの前も」
「それは言わないでくれ」
ゼウスは弱った。それが顔にも出ていた。
そのうえでだ。妻にさらに話す。
「あのことは謝っただろう。ペルセウスのことは」
「全く。また子供をもうけられるとは」
「だからそれはもう言わないでくれ。頼むからな」
「そういうわけにはいきません」
あくまでこう言うヘラだった。ゼウスの言うことはまさにその通りであった。そのことはだ。他ならぬ彼がそれを見せたのだから。
悪の場所 完
2011・2・28
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ