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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十二話
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ンから聞いたことなんだけど、まあ確かにその通りだと思う。他にも、誰もいない中宙に浮いたクラリネットから音が出ているとか、そんなバリエーションがあるわけなのだが……まあ、その後輩から聞けたのは色々とあるのだが、どれも似たようなものなので割愛とする。

「そして、ここがその噂のある音楽室だ。ちなみに、こことは別に第二音楽室もあったりする」
「まあ、ああいうたぐいの噂ってより古い方にできるもの。イメージ的に古そうな第一音楽室にいるのは当然でしょうね」
「そういうものなのか」
「そういうものなのよ」

 テンがここまではっきりというってことは、そうなんだろう。そんなことを考えながらとりあえずDフォンを向けてみるが、

「……反応はない、な」
「噂の内容的には音楽室がコードになると思ったんだけど、そうじゃないのかしら?」
「初心者の俺に聞かれてもなぁ……まあ、クラリネットが中心みたいだし」

 それなら、音楽室にあるクラリネットがコードになるのかもしれない。とはいえそんなことを考えているだけではどうしようもないので。

「入るか?」
「そうね。入ってみれば何かあるかもしれないし」
「だよな……ん?」

 と、そこで俺は首をかしげ、次に目を瞑った。

「カミナ?どうかした?」
「いや……何か、聞こえてこないか?」
「何か?」

 俺の言葉にテンは首をかしげながらも目を瞑り、音に集中する。俺もそれに倣って、目を瞑って音を聞く。そして……

「やっぱり、何か聞こえてくる……」
「ううん、何かじゃなくて……クラリネットの音よ」

 ということは、つまり……!

「言われてみれば確かに、条件はそろってるわね。放課後の校舎、この辺りにあたしとカミナ以外はだれもいなくて、ついさっきその噂を聞いたばかり。さらには主人公までいる」
「出た、ってわけか。コードを読み取らなくても出てくるもんなのか」
「出るときは出るわよ。Dフォンがつながなくても縁があることだってあるだろうし」

 確かに、なにもかもDフォンだより出なければならないというのはおかしな話だ。なら、この音がそのロアによるもののはず!
 俺とテンは一つアイコンタクトをして、音楽室の扉に手をかけ

  ブヒュッ

「……………………」
「……………………」

 うん?

「えっと、今のは?」
「いやいそんなはずないじゃない。だって、『うまい演奏をする』ロアよ?きっとミスじゃなくて、演奏するうえで必要な手順なのよ」
「ああなるほど、そういうことね」

 俺もテンもクラリネットには詳しくないので、危うく勘違いしてしまうところだった。それにしても、そこまでちゃんとやるとはさすがは『クラリネットのロア』。これは侮れない相手なのかもしれない。
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