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第一章
悪の場所
オリンポス山にだ。神々が集まっていた。
神々はだ。互いに円卓に座ってだ。そのうえであることを話していた。その話す内容とはだ。
明るい顔の青年神がだ。まず言った。
「やはり目ですか」
「目だというのか」
「アポロン神は」
「はい、目です」
その神アポロンはまた話すのだった。
「目がです」
「目が最も悪い場所だというのか」
「人のか」
「人はまず見ます」
アポロンはさらに話す。
「そして見て欲を抱きいらぬことを考えます」
「そしてそれを行動に移す」
「だからだというのだな」
「ですから目です」
アポロンの意見はこれであった。だが、だった。
アポロンよりも鋭利な感じで、しかも抜け目のない目をした青年がだ。ここでこう話すのだった。周囲のその山々が白く見える。
「目から見て考えられるのですね」
「そうだ」
アポロンがその青年神に答える。
「全ては目からはじまるのだからな」
「しかしです。目で見てです」
その抜け目のなさそうな神はさらに話す。
「考えるのでしたら」
「むっ、ヘルメスよ」
「それではか」
「違うというのか」
「そうです。私は目ではないと思います」
その神ヘルメスはだ。抜け目のなさそうなその目をさらにそうさせてそのうえでだ。周囲に対して話をするのだった。こうだ。
「頭だと思います」
「頭か」
「そこか」
「そこだというのか」
「そう思いますが」
こう神々に答えもヘルメスだった。
「人間は考えて動くからです」
「確かにな。考えて動くからな」
「人間も神もだしな」
「だからか。それでか」
「頭が最も悪い」
「そうだというのか」
他の神々もそれで頷く。しかしだった。
今度はだ。艶かしい、見ているだけで見惚れてしまいそうな美女が言うのであった。目元そのものに色香が漂ってさえいる。
その美女がだ。こう言うのであった。
「ヘルメス神のお言葉ですが」
「何かありますか?」
「確かに人は考えて動きます」
それは認めるのだった。
「ですが。考えがそのまま行動に移るかというとです」
「違うというのですね」
「考えだけで止まることも多々あります」
こう話すのだった。
「そうですね。それは」
「ううむ、言われてみれば」
「アフロディーテ神の言うことも一理あるな」
「確かに。そうも考えられる」
「否定はできないな」
「悪事は行動があってこそ成立するものです」
アフロディーテはこう言うのであった。
「ですから。その行動を成立させるもの」
「それが問題だというのですね」
「行動を成立させるもの、それがですか」
「それをさせるものこそが問題だと」
「
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