空白期 中学編 09 「紫炎の剣」
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ルにも俺に似た気持ちがあるのだろう。
だが無茶なことをすれば、自分だけでなく他人も傷つけてしまう。魔導師組にはできないことが自分には可能であり、また可能だと思ってくれているからこそ、気持ちのまま突き走る俺を止めてくれたのだろう。
『技術者としての戦いは、失敗を繰り返すことでしか成功という終焉に辿り着けず、また終焉が見えたと思えば更なる高みを目指さなければならない先の見えないものです。ですが、あなたのことは私が支えます。あなたとならばより良い技術を作っていけると信じています……私と共に戦ってはくれませんか?』
そっと差し出されたシュテルの手。俺はしばしの沈黙の後、彼女の手を取った。
あの日から俺はシュテルと共に新型のカートリッジシステムの研究を進めてきた。彼女や義母さんの考えで中学を卒業するまでは本格的に技術者としては参加できないのだが、テストマスターしてデータを取ることは行っているのだ。
ファラやセイがシュテル達の手伝いをしているのは、将来的に俺の手伝いをしてくれるからだろう。まあ彼女達にも彼女達なりの意思があるので手伝いたいという想い以外にも理由があるかもしれないが。
長くなってしまったが、このウィステリアは試作された最新のカートリッジシステムをテストするデバイスでもあるのだ。同時に《魔力変換システム》と呼べそうな機能のテストも行っている。これは簡単に言えば、魔力を炎熱といったものに変換するのを補助してくれる機能だ。
ウィステリアに組み込まれているシステムは、どちらも試作段階であるため、使用者にどのような影響があるのか分からない。そのためシュテルは俺の体調に最新の注意を払っているのだ。
「いや、やるさ。お前に比べれば俺の疲れなんて大したことない……何だよその顔は?」
「いえ……地球で会ったときと接し方が違うような気がしまして」
「技術者としてのお前は尊敬してるからな」
「……そうですか。まあやれるというのであれば、あなたの言葉を信じます。時間も勿体ないですし、さっそくデータ収集に入りましょう」
そう言ってシュテルは俺から離れて行った。急にそっけないような気もしたが、シュテルは動物で表すならば猫のような奴だ。これといって気にすることもないだろう。
俺は藤色の剣のアクセサリーを片手に、テスト用の訓練室に足を踏み入れる。セットアップすると、ウィステリアは薄青色を帯びた紫色の直剣へと変化し、俺の体は着慣れた黒衣に包まれる。
……前から気になっていたんだが、何でウィステリアのバリアジャケットは微かに紫掛かっているんだろうか。
ファラは黒一色であり、セイも同じだ。セイが違っていたのならば理解できるのだが、どうしてウィステリアだけ違うのだろうか。そう思った俺はウィステリアの製作者かつメンテナンスを行ってい
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