4部分:第四章
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第四章
しかし虹は遠ざかる。これの繰り返しだった。
三月経った。その間幾つかの虹に巡り合ったがどの虹も遠ざかっていく。しかしそれでも二人は諦めずにだ。虹を探すのだった。
二人は服も剣も盾もぼろぼろになっていた。北の国の旅は過酷だ。ホッドの金髪には霜がかかってきている。しかしそれでもだった。
「次の虹にこそは」
「そうだ。その意気だ」
長老も服にまで霜がかかってきているがそれでも諦めてはいなかった。
「いいな、絶対にだ」
「諦めないでそれで」
「虹を手に入れるんだ」
こう彼に言うのだった。
「いいな」
「ヴィーキングらしくね」
「諦めないことだ」
このことを彼に言う。そしてだった。
また虹を見つけた。二人はそれに向かう。
だが今度も遠ざかりそうだった。しかしであった。
その虹はそこに留まりだ。二人を受けたのであった。
二人は虹の傍まで来た。そうしてだった。
ホッドがすぐに剣を抜いた。そして。
虹の一片を切った。虹は忽ちのうちにそこから出て布の様になり落ちた。ホッドはそうした虹の片を幾つか作ったのであった。
そしてそれを手に取ってだ。満面の笑顔で言うのだった。
「これでよしだね」
「うむ、それでいいな」
「後は村までこれを持って行って」
「服にしてもらえ」
「そうするよ。それじゃあ」
「戻るぞ、村に」
「うん」
二人で満面の笑みで頷き合ってだ。そのうえで村まで戻るのだった。ホッドは村に戻るとフラキにその服を贈った。そしてそれが二人を永遠に結びつけることになった。
そんな彼等を見てだ。顔中赤い髭だらけの大男がだ。彼とは正反対に見事な金髪に涼しげな青い目に白い肌を持つ麗しい男に声をかけていた。
「フレイよ」
「何だい、トール」
「あれでいいのだな」
トールと呼ばれたその男はこうフレイと呼んだ麗しい男に問うのだった。
「御前の力である虹をあの若者に与えて」
「何、構うことはない」
フレイは微笑んでそれはよしとした。
「虹は幾らでも作られるからね」
「幾らでもか」
「私が雨の後に念じればすぐに何時でもできるからね」
そうだからというのである。
「それこそすぐにね。何処でも雨の後ならば」
「だからか」
「そうさ。それに」
「それに?」
「あそこまで一途だとね」
ホッドを見てだった。温かい笑みを浮かべての言葉だった。
「どうしてもね。適えたくなるよ」
「ふむ、確かにな」
トールもこれには同意だった。
「俺もああした人間は好きだな」
「そういうことだよ。それにこれで恋が一つ成就したんだ」
「うむ」
「喜ぶべきことじゃないか。だからこれでいいんだよ」
「確かにな。恋は適えられるべきものだ」
「それが一途なら一途であるだけね
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