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虹の服
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第二章

「そうしてそのうえでじゃ」
「どうするんだい?一体」
「虹を切ってじゃ」
「その虹を?」
「そしてそれで服を作るのじゃ」
 そうしろというのである。
「そうするがいい」
「虹の服って」
「人が着てはおらん、妖精が着る服じゃがな」
「それをなんだね」
「うむ、それを作るのじゃ」
 またホッドに話した。
「わかったのう、それで」
「うん、わかったよ」
 ホッドは意を決した顔で長老の言葉に頷いた。
「それならね」
「虹の傍に行ってじゃぞ」
 長老はまた彼に告げた。そうしてだった。
 自分もだ。こう言ってきたのである。
「そうじゃな。ここは」
「ここは?」
「わしも一緒に行くか」
 ふと思いついたような顔での言葉だった。
「面白そうじゃしな」
「あれっ、何で長老まで?」
「ヴィーキングは冒険者じゃぞ」
 ただ単に略奪ばかりしているわけではないのだ。ヴィーキングはまだ誰も行ったことのない道の場所に行くこともだ。それも喜びにしているのである。
 その喜びを思い出してだ。彼は言ったのだ。
「だからじゃよ」
「つまり虹のところまで行くのは」
「冒険じゃぞ。さすればわしもじゃ」
「ううん、それでなんだ」
「駄目か?」
 考える顔になって俯いたホッドに問う。
「それは」
「僕一人で行くんだと思ったけれど」
「一人より二人じゃ」
 長老はその彼に話した。
「一人じゃとできることが限られる。しかし二人ならばじゃ」
「違うからなんだね」
「そうじゃ。虹はそこにあっても中々傍には辿り着けぬ」
「そういえば。近くに来てもそれでも」
「すぐに遠ざかるな」
「うん、確かに」
 長老のその言葉に頷く。
「そうなるよね」
「そうじゃ。だからじゃ」
「だから二人でなんだ」
「その虹を捕まえること、一人では無理じゃからな」
「わかったよ。それじゃあね」
「それでよいな」
「うん」
 長老のその言葉に頷いた。それでだった。
「それじゃあ二人でね」
「行くぞ」
 こう話をしてだった。二人でその虹の傍に向かうのだった。
 虹自体はだ。すぐに見つかった。
 村を出て来たに進んで次の日にだった。虹が見えたのだ。
「見つけたな」
「うん」
 ホッドは長老が虹を指差して言ったそのことばに頷いた。
「確かにね」
「では行くぞ」
「それじゃあね」
 こうしてだった。二人でその虹に向かう。
 だが虹はだ。手元に行くとすぐにだった。
 遠ざかる。そしてさらに近寄ってもだ。
「やはりな」
「遠ざかるね」
 その虹を見て二人で話す。

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