来訪者編
第28話 留学生来たりて
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、一番太いところで30cmほどの炎を作り上げる。
「これが僕の先天性スキルである発火念力なんだけど、こうすると……」
発火念力の意味をさとった時なのか、リーナは少し動揺していたようだが、気にしてもしかたがないと、そのまま炎を指先から離して自分の指先の周囲をクルクルとめぐらせる。
「発火念力のうちの発火念動力というのが、僕の先天性スキルの本質なんだ。現代魔法でいう振動系魔法と、移動系魔法が混合しているものだね。そして、この炎は大きさを変更できる。これを小さくしていくと……」
炎は小さくなっているが、炎のまわりにサイオンが残ったままというか、球状になっていく。
「サイオン光がきちんとみえるなら、炎だけじゃなくて、サイオンもあることがわかるよね?」
「はっきりとはわからないけれど、確かに炎の周囲にもサイオンがあるようね。けれど、魔法の常識としては、そんなの信じられないわ」
「これは現代魔法でなくて、超能力の分野になるんだけど、発火念動力の発生には、サイオン次元を改変してそれを現実世界への改変へと導くのが大多数なんだけど、この発火念動力は、現実世界で直接火を発生させてからサイオン次元への改変へと導くタイプなんだ」
リーナが信じられないという顔をしているが、実物をみせているので信じてもらうしかない。ちなみに僕たちが霊能力者と呼んでいる者が先天的に放つ炎はこのタイプだ。
「そしてこの炎が完全に消え去ると……」
炎を消してみせると球状のサイオンの塊が、僕の指先周辺をクルクルとめぐっている状態なので、また指先の上で静止させてみせる。
「このように、純粋なサイオンの塊を移動や停止させることができる。そしてこのサイオンの塊を……」
金属球に向けて放ったところで、金属球を元の中央へと移動させてみせた。そしてそのままサイオンは金属球を包み込むようにサイオン光を放っている。
「その金属球に、術式解体『グラム・デモリッション』がかかっているのと同じ状態だから、もう一度移動魔法をかけてみたらいいよ」
リーナがもう一度CADのパネルに掌を叩きつけるようにしたが、サイオン光は発生していても、魔法式そのものが投影されなかった。正確には投影しようとしている魔法式はサイオン次元に発生しても、現実世界では順番に構築されていっているのを、次々とはねとばしているのだが、高速撮影でもしないとその状況はわからないだろう。
「これだけの能力があるのに、ショウは前回の実技試験で5位なの?」
「移動・振動・加速・加重系は得意だけど、収束・発散・吸収・放出系はそれほどでもないからね」
手の内をさらすことになったが、周りがある程度知っている以上、嘘もつけないだろう。『火圏』の結界もこの魔法の延長戦上にある技法だ。
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