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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十話
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なのだが、俺はまだ何も納得できていない。というか、まだ何も知らない。

「そういうわけでさ、説明してくれよ。テンは一体何者なのか、俺は一体何に巻き込まれたのか……主人公ってのは、なんなのか」
「ええ、分かってる。あたしとしてももう、あんたに早々に消えられると困るもの。……でも、その前に一つだけ聞かせて」

 そう言うと、テンはとても真剣な表情で俺の方を見て、

「あんた、『ペスト』って知ってる?」

◆2010‐05‐12T13:30:00  “Yatugiri High School 2-A Class”

「あ……二人揃って遅刻ですか、カミナ君にテンさん。何かあったんですか?」

 昼休み。教室に入った瞬間にとてもニコニコしたティアがそう聞いてきた。
 そしてその次の瞬間、『ざわっ……』とクラス内の全員が箸を止めてどよめく。さて、隣のテンはまだ状況を理解しきっていない様子なんだけど……ふむ。

「さすがは俺だろ?」

 よし、ここはテンが理解する前にできるところまでいじろう。楽しそうだし。
 すると、俺がそう考えていることが読めたのか、ティアも乗ってきてくれた。

「ええ、さすがはカミナ君。半日学校をサボって何をしていたの?」
「んー。そういう俺からサボったって感じではなく、サボらされたって感じだな」
「わぁ……やっぱり、テンさんって大胆……」

 と、ここでようやくこの状況が周りからどう見られるのか、そして俺がどれだけあおったのかを理解したのか、テンは一気に真っ赤になり、

「ちょ、別にそう言うんじゃないわよ!ちょっと用事があったから呼んだだけで!」
「ほう?学校をサボってまでの用事とは、一体何なのだ?」

 あ、珍しい。アレクまで乗ってくるとは。まさかの本気の疑問かと思ったけど、どうやらそうじゃなくて面白がってるだけっぽいし。

「そ、それは……ちょっとカミナ!」

 テンがなんとかしろ!という感じの表情でこっちを見てきた。ふむ、ここまでなってしまうと、もうどうしたものか……

 キーンコーンカーンコーン

「あ、チャイムだ。皆ー、席つこうぜ〜」

 このどこか乗りのいいクラスメイト達は、俺が言うのと同時に自分の席へと向かっていった。もちろん俺自身も自分の席について、持っていたカバンから筆箱と教科書を出したりして準備を進める。
 そんな中、テンは少しの間状況をつかめていないのか教室の入り口でポカンとしていて……あ、こっち向かってきた。そういや、席俺の後ろなんだよな……マズッたか?
 とか考えている間にテンは自分の席について身を乗り出し、

「何してくれてんのよ!」
「ゴフッ」

 思いっきり、背中を殴ってきた。その様子に周りのやつらが笑っている中、テンはさら
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