第2巻
漆原家の闇×理事長と校長の会談
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からないあなたではないでしょう!?彼はあなたの政治の道具ではありません!」
眦を吊り上げ、呪殺するような視線で睨みつける。それを真っ向から浴びている理事長は、ここがレストランで密談できる場所ではなく一般人がいるような場所なので落ち着くよう指摘する。理事長は平然とナイフで鯛のソテーを切り分けながら、逆に窘めた。貫録と冷静沈着さは、老獪な政治家たちに勝るとは劣らない。校長はますます睨みつけながらも、落ち着けという言葉に従うしかない。
校長も優秀な《救世主》であり、学園第一期生であり、初代実戦部隊隊長。《固有秘法(ジ・オリジン)》を持つ黒魔であり、日本で十人もいないランクAである。年齢は二十歳だが、校長くらい優れていると前世の記憶の多くを有し「若いから見識がない」という一般常識は当てはまらない。校長職への就任も大抜擢というよりは、白騎士機関内では往々に起こり得る人事で、組織トップである「六頭領」達ですらほぼ全員三十歳未満。まあ四門万里を学園校長職を置いたのは、蒼い翼零達也が指名した事は一部の人間しか知らない。
万里は思う。そういう観点からすると、《救世主》でもない常人が「弱冠」二十五歳で理事長を務めているのは異例の事かもしれない、と。この男は「若さに似合わぬ見識」を磨き上げた、恐ろしい傑物という事。無論その見識の中身は綺麗なもんではなく、澄まし顔で食事を続ける理事長は警戒の籠った視線をぶつけ続ける。腰を落とし、声のトーンも落として忠告を続ける。
「灰村君は我が国の至宝となりうる人材ですが、彼がソレスタルビーイング所属だと言う事なので、あなたが何かしら企みをしたとしても自滅するだけかと思うのでお考え直し下さい」
「だからと言って奥にしまって活用しないのも、愚者の行為だと思うが、彼がCB所属だとしても亜鐘学園所属でもある。活用しなくてどうするのかね?」
「他の生徒同様、彼には時間を与えなくとも、成長はします。が、見守るべきだと思います」
「私はそれが時間の無駄だと言っているのだよ。彼は亜鐘学園で置いておく人材ではない、早めに白騎士機関に取り込めば怖くは無い」
「仮にも理事長のお言葉とは思えません。学校制度の軽視がどれだけ恐ろしい結果を招くか、ロシア支部を見れば明らかでしょう?強さだけを求めて・・・・」
「・・・・心を鍛える事を放置すれば、歪な《救世主》が出来上がる、と。うん、素晴らしい一般論だ。一般論だ!君の報告書によれば、灰村君は非常にバランスのとれた人格であり、同時に対ドウター戦においての戦力も既にあるとあったが?それは間違いとでも言うのかね?」
校長は「ああ言えばこう言う」と頭を抱えながら歯噛みをしていた。とりあえず校長先生は反対のようだが、修
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