暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
想起
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その女性――――生涯守ろうとした妹の姿を見て






 男は、         壊れた。





「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


「カ、カケル!?どうしたの!?」

 辺り一帯に架の叫び声が響き渡った。ルイズが振り向くと架は頭を抱えるように蹲っていた。全身がガタガタと震え、目は何かに怯えきっている。
 ルイズが架に寄り添い、必死に声をかけるがそれも聞こえていないようだった。

「こいつは・・・相棒!まさか、記憶が!?」
「思い出したの!?」
「グッ・・・・アアアアアアア!!」
「どうやらそうみてーだな。よほど性質(タチ)の悪いモンらしいが・・・」
「ルイズッ!前!!」
「!!?」

 ばっと振り返るとゴーレムが今まさにその拳を振り下ろす瞬間だった。迫りくる死の予感にルイズは何も出来ず、キュッと目をつぶってしまう。そして・・・

「魔神剣・双牙!!」

 ズバァァァッ!!

 咄嗟にデルフリンガーを抜き放った架がそのままの勢いで二つの気の刃を飛ばした。
 二つの気はゴーレムの両足を砕き、ゴーレムは大きくバランスを崩す。結果、拳は大きく逸れてルイズたちとは離れた場所に下ろされた。
続いて架はルイズを片腕で抱え再び跳躍。ゴーレムとさらに距離を開けた。

「カケル!大丈夫なの!?」
「ああ・・・。ぜんぶ、おもい、だした。」
「!?・・・アンタ、泣いてるの?」

 架の顔を見ると、彼は止めどなく涙を流していた。歯を食いしばりながら泣くその姿は、直面した事実に懸命に耐えているようにも見えた。
 架はそのぐしゃぐしゃな顔を拭いルイズに向き直ると、そっ、と彼女の頬に手を添えながら言った。

「俺は・・・あの時、大事なものを、守れなかった・・・。」
「え、それって・・・。」
「だから・・・」



――――今度こそ・・・お前を・・・守らせて・・・。




 悲しげな、そして何かに許しを請うような声だった。その言葉に、どんな想いが込められているのかルイズには想像できるはずもなかった。ただ、その声に、その姿に魅せられたのか何も言えなくなってしまう。二人はそのまま動かなかった。
 静寂を破ったのは地面に降り立つ竜の羽ばたきの音だった。

「あなたたち、何やってるの!」
「乗って。」

 キュルケたちの声を聞いた架は再びルイズを今度は両腕で抱え上げ、シルフィードに乗せてやる。「あなたも。」というタバサに、「いや・・・」と言いながら後ろを見やる。先ほどは足を破壊されていたゴーレムだが、土でみるみる再生していく。完全に元に
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