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101番目の舶ィ語
第十話。超えた限界。勇気の在り方……
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も、モンジ、強いのね?」

腹を抱えられた事やリサが変身した事よりもそっちの事実に驚いたらしい音央は、目をパチクリさせながら俺を見つめてきた。

「あー、いや……」

なんて説明しようか?
ありのままを伝えるべきか?
それとも……。

迷いながら俺はふと気になった事実を音央に尋ねた。

「っ、それより。そのラジオは便利だな。村人の接近を知らせてくれるみたいで」

急な話題転換に疑問を持ったのか音央は眉を一瞬だけ吊り上げたが問い詰める事はしなかった。
それどころか極めて明るい声で俺の疑問に答えてくれた。

「うん。このラジオが危険を教えてくれてるみたいだもんね。それにこれ、どっかで見た事がある気がするのよ……」

「デザインがよくあるものとか?」

「んー、そうかも」

極力何時ものように返してくれて、内心で感謝した。
彼女にどこまで話すべきか、という問題はひとまず置いといて。
今は音央を無事に帰す事を優先しよう。
俺はもうこの『主人公』の道を覚悟しているからいいが、音央は単なる被害者なんだからな。
早く元の生活に戻してやらないといけない。
そう思った。その時だった。

ピピピピピッ。

Dフォンが着信を知らせてくれた。
相手は……キリカだ!

「もしもし! キリカか!」

『わっ、食いつきがいいねモンジ君』

「今、丁度大変な状況だったんだよ」

『うん、普通の携帯の方にもかけたんだけど出なかったから、電波が悪いか、誰かの『ロアの世界』にいるのかなー、と思って、Dフォンにかけてみたんだけど正解だったよ。
近くには瑞江ちゃんいる?』

「いや、今はいない。音央ならいる。音央と一緒に逃げているんだ」と返事をした時だった。

ザザザザザザザザザザッ??

「またか!」

音央の持つラジオがノイズを発した。
見ると自治会館の駐車場の方から4人の村人がゆっくり歩いてきた。
俺達よりもちょっと歳上な若者、中年のおじさん、中年のおばさん、高齢のおじいさん、だ。
手にはそれぞれ、バットやらゴルフクラブやら包丁やら猟銃やらを持っている。
その目はやはり黒塗りで、顔の表情は無表情だ。気味が悪い容貌はいかにも亡者っぽい。

「音央、森の方に走るぞ!」

「う、うん」

『ほんとだ。凄いピンチっぽい状況だね』

「まあね!」

キリカと電話しながら音央の手を引き、彼らとは反対側に走り始めた。
その直後。

ズドォォォン、と銃声が鳴り響いた。
彼らのうちの1人が手に持つ猟銃で俺や音央の背に向けて発砲したのだ。
放たれた銃弾は一発。
その弾の弾道は丁度俺の左側を通過する位置。
音央の心臓に当たる位置だ。
左手で僅かに逸らしても、音央の頭に当た
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