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101番目の舶ィ語
第十話。超えた限界。勇気の在り方……
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俺もミーちゃんもずっと死人のままだったんだ」

「うん。モンジおにいちゃんは悪くないよ?」

「タッくん、ミーちゃん……」

「そうよ。あんたは悪く……って、待って!
タッくん、ミー……ちゃん?」

俺を励まそうと音央に続いてそう言ってくれたタッくんとミーちゃんだが彼らの存在に今更ながら気付いた音央はその顔を驚愕させた。

「ええ?? ちょっと、な、なんで??
え、えっーと……本物?」

唖然とした様子でタッくんやミーちゃん、俺の顔を交互に見つめる音央。
混乱している様子がよくわかる。
まあ、誰だって死んだと思った人がいきなり目の前に現れたらそうなるよな。

「見ての通り、無事だよ」

出来るか、出来ないかは賭けだったが2人の物語は無事に改変された。
『人喰い村(カーニヴァル)』の一部から、『黒い目の子供達(ブラック・アイ・キッズ)』の物語に……。

「よかった。よかったよ……うぇーん」

鬼の目にも涙、ではないけど普段快活で明るい音央がこれほど感情を乱すなんて珍しい光景だ。
音央は常に明るく、元気で、活発。
スタイルの良さとその性格から人気が高い女の子だからな。
人前でこれほど感情を乱したなんて事は今まで一度もなかった。
そう思った時だった。

ザザザザザザザザザザッ??

音央が持っていたラジオがいきなり鳴り始めた。
俺は咄嗟に音央を引き寄せて、すかさずサイドステップした。
ブォン、と俺がいた場所を通り過ぎる金属バット。

「ひっ!」

「おっと悪い、な!」

後ろを振り返るとそこにはバットを持って、そのバットを振り下ろした状態のおっさんがいた。
俺は音央の腹辺りを左腕で抱き抱えると、そのおっさんの脇腹を右足で蹴り飛ばした。

「リサ!」

リサの方を見ると、いつの間に変身したのか、リサは金毛の狼のような姿をした魔獣、『ジェヴォーダンの獣』の姿になっており、その背に子供達を乗せていた。

「よし、リサ!そのまま森の方に逃げてくれ!
俺と音央もすぐに行くから」

……オオオオオオ__________________ン………………!

リサが、百獣の王、ジェヴォーダンの獣が何かを喚んだ。
リサの咆哮が終わった直後、空を覆い尽くしている黒い影。
それは……。

(蝙蝠??)

鋭い牙を持つ、闇夜の狩人が俺と音央を守るように周囲を旋回し始めた。
蝙蝠が飛来してきたのを確認したリサは一声上げると物凄い速さで森の方に駆け抜けて行った。

「クジラ、渡り蝶、(ハイマキ)ときて、今度は蝙蝠か……相変わらずリサの獣を喚び寄せる能力は凄いな……」

リサが駆け抜けて行った方角を眺めていると、腕の中に収まっている音央が口を開いた。


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