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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十二話 崩壊への序曲
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易船、輸送船は尽く貴族達によって拿捕されている。その所為でオーディンは物資不足に陥っているらしい。
「放置はしないだろう」
「放置はしないだろうね」
「如何する?」
問い掛けるとエーリッヒが首を横に振った。
「如何もしない、ローエングラム侯に任せるよ。大体貴族達は我々が行けば嫌がるだろう、分け前が減ると言って」
見殺しか。エーリッヒは貴族連合軍をローエングラム侯の手で葬り去るつもりだ。エーリッヒがココアを飲んだ。俺もコーヒーを口に運ぶ。
「餌としては使わないのか?」
またエーリッヒが首を横に振った。
「同じ手が何度も通じるとは思わない。危険だよ」
「……」
「貴族達が敗北して補給線を回復しても直ぐに物資が届くわけじゃない。商人達は慎重になる筈だ。オーディンの困窮は暫く続く。なんならもう一度補給線を断っても良い。ローエングラム侯への不満は募る一方だろうな」
「……」
エーリッヒが笑みを浮かべて俺をじっと見た。
「暴動が起きるかもしれないよ、アントン」
「……」
「ローエングラム侯を見限る人間も出て来るだろうな」
「……それが狙いか」
「そうなれば良いがその前に決戦を挑んでくるかもしれない。如何なる事やら……」
宇宙暦 797年 12月 20日 イゼルローン要塞 アレックス・キャゼルヌ
「帝国の内乱は随分と酷いようですな」
シェーンコップ准将の言葉に皆が頷いた。
「オーディンでクーデターが起き鎮圧したと思ったら今度は暴動とは……、ローエングラム侯の旗色はかなり悪い」
「というより現状では負けかけている、そんなところではないかな。副司令長官のキルヒアイス提督も戦死しているしリヒテンラーデ公もクーデターで殺された」
パトリチェフ准将、ムライ少将が言うと司令室の彼方此方から“ウーン”と唸り声が聞こえた。ヤンは無言だ。
「やはり皇帝暗殺と焦土作戦が効いているんじゃないですか。辺境星域は貴族連合に付いたのでしょう?」
「付いた、というよりオーディン周辺だけだろう、ローエングラム侯が支配しているのは。これでは帝国を支配しているとは言えんな。第一皇帝も奪われている」
アッテンボローとフィッシャー少将の遣り取りに彼方此方から同意の声が上がった。
「司令官のお考えは?」
俺がヤンに振ると皆が視線をヤンに向けた。ヤンは困った様に髪の毛を掻き回した。
「正直に言えばローエングラム侯が敗けるとは思わなかった、予想外、かな。総司令官のメルカッツ提督は地味だけど老練で隙が無いと聞いているが……」
言葉が途切れた、納得してはいない。
「腑に落ちない?」
俺が言葉に出すとヤンが頷いた。
「政略面でローエングラム侯を叩いています。彼の大義名分を尽く潰している。その上でローエン
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