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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十二話 崩壊への序曲
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で死を強いられた。リヒテンラーデ公の一族が族滅させられた事がローエングラム侯に処罰の正当性を与えてしまった。
政府閣僚は殆どがゲルラッハ子爵に同調したため政府は有名無実化している。このオーディンで生き残った貴族達はほんの僅かで息を潜めて、首を竦めて生きている。貴族達にとってローエングラム侯は流血帝アウグスト二世にも等しい存在に違いない。
ローエングラム侯の処罰が厳しいのはグリューネワルト伯爵夫人を殺された怒りも有るだろうが見せしめの意味も有るのだと思う。貴族連合軍と戦うのに根拠地であるオーディンが安定しないのでは安心して戦えない。二度と敵対勢力の蠢動を許さないためには厳しい処置が必要だと考えたのだと思う。
理解は出来る、しかしそれも自分に災難が降りかからなければだ。ナイトハルトはその災難を生きている人間では一身に受け止める事になった。クーデターを鎮圧したまでは良かったがその後にローエングラム侯からゲルラッハ子爵達の処刑を命じられた。
全員毒による自栽という形をとったが中には死を望まず押さえつけて毒を飲ませた者もいるらしい。ナイトハルトが自ら毒を飲ませたわけではないが本人にとって気持ちの良い話ではないだろう、しかも一人や二人ではないと聞く。ナイトハルトが憔悴し迷っているのはその事も影響しているだろう。
「侯を裏切るような事はしたくない。だが俺一人の問題ではないからな。部下達の事も考えなければ……」
「……」
「ビッテンフェルト提督に言われたよ。戦いたくても戦えない状況になる可能性も有る。そうなれば意地も通せんと」
「……」
「覚悟だけはしておいた方が良いだろうな」
ナイトハルトがグラスを一息で空けふーっと息を吐いた。
帝国暦 488年 11月 20日 レンテンベルク要塞 アントン・フェルナー
「ガイエスブルク要塞に比べるとやはり小さいな」
「そうだね、おまけに居住性も良くない。まあ最前線なんだから余り贅沢は言えないか」
昼食後の御茶の時間、二人ともゆっくりと背もたれに体重をかけ寛ぐ。満腹感と幸せ感が……。陽だまりで昼寝をする猫の気分が良く分かる。世は事も無し、満足満足。こういう怠惰な時間が有っても良い。エーリッヒの部屋はコーヒーとココアの香りが混じった妙な匂いに満ちていた。
「オーディンは酷いみたいだな」
「貴族達が頑張っているからね」
「それはそうだ。拿捕すれば自分の物になる。楽しくて仕方がないだろう」
「他人の物を金を払わずに懐に入れる。褒められた事じゃないんだから少しは罪悪感を持って欲しいよ」
他人事みたいな批評に思わず噴いた。作戦は卿が考えたんだけどな。それに仕事を楽しむのは悪い事じゃない。フェザーンからの、いやフェザーンだけとは限らない、オーディンに向かう交
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