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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十二話 崩壊への序曲
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けに皇帝も奪われた。圧倒的に不利な状況にある。妙な話だが気が付けば押し込まれていた、そんな感じだ。ナイトハルトがぼやくのも無理は無い。
しかし俺の見るところ貴族連合軍は中核になるブラウンシュバイク公爵家、リッテンハイム侯爵家の兵力は殆ど損害を被っていない。そして両者の結束は予想以上に強い。損害を受けたのはそれ以外のどうでも良いと言える貴族達だ。言ってみれば贅肉を切り落として筋肉を残している。上手いやり方だ、最初から総てを統率しよう等と考えていない。
一方ローエングラム侯はジークフリード・キルヒアイス、ウォルフガング・ミッターマイヤー、カール・グスタフ・ケンプを失っている。こちらは軍の中核部隊だ、簡単に補充が出来るわけではない。落してしまった筋肉を付けるには相当な時間がかかるだろう。明らかに分が悪い。そして軍以外でもリヒテンラーデ公を始めとする貴族達を失った。いずれ内乱が終われば始末するつもりだっただろうが現時点では痛い損失でしかない。ローエングラム陣営は明らかに弱体化し孤立している。
「エーリッヒが出来るのは分かっていた。戦略家、戦術家として有能な事もな。でも謀略までこなすとは思っていなかった。酷い状況だよ、兵達は何のために戦うのか分からずにいる。士気は下がる一方だ」
ナイトハルトが溜息を吐いた。どうやら軍の状態はかなり酷いようだ。
予想外だろうな。兵達の殆どが平民だ。彼らはこの内乱が起きた時、反逆者を討伐するという大義名分以外に門閥貴族達の専横を抑え平民達の権利を確保するという想いが有ったはずだ。ローエングラム侯がその願いを叶えてくれる、だから侯のために戦うという希望が有っただろう。
だがその大義名分も希望も打ち砕かれた。辺境星域での焦土作戦、フリードリヒ四世の暗殺、リヒテンラーデ公との野合、所詮ローエングラム侯も平民達の事など考えていない、身勝手な野心家でしかないと気付かされた。そして戦局は決して良くない……。
「そのうち逃亡者が出るかもしれない。皆頭を痛めている」
「……そこまで酷いのか」
ナイトハルトが頷いた。深刻だな、兵達の心は折れかかっている。今では貴族連合よりもローエングラム陣営の方が烏合の衆に近いのだろう。今は兵達かもしれないがそのうち指揮官クラスの心も折れるかもしれない。そうなれば崩壊は間近だ。
「付いていけるのか?」
「……」
「今回のクーデターの後始末、酷い物だった。大丈夫なのか、ローエングラム侯は」
「……」
ナイトハルトが苦しそうな表情をしている。やはりな、悩んでいるか。ただ裏切りは矜持が許さない、そんなところかもしれない。
オーディンで起きたクーデターは凄惨な結末を迎えた。クーデターの首謀者、ゲルラッハ子爵、オッペンハイマー大将を始め主だった参加者は本人のみならず家族ま
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