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第一章
生み出すもの
アンドレアス=スコウフスは画家である。その描くものは実に独特なものだった。
「今度は絵はそれか」
「海に浮かぶ巨大な城な」
「しかも黄色い空か」
「しかも赤い海か」
「こんな世界か」
所謂超現実主義である。そうした絵を描くのだった。
この日は彼の展覧会だった。それで皆その絵を見て話すのだった。
「何処からこんなものが描けるのか」
「どういう発想なんだろうな」
「天才だな」
「ああ、まさにな」
こうした評価だった。マグリットやダリにも匹敵する天才だという評価を受けていた。それが彼なのであった。
その彼はだ。至って穏やかな人物だった。背が高く四角い顔をしていて青い目は細い。髪は黒がかった銀髪である。容姿は並といったところだ。
その彼はいつも家のアトリエで絵を描いていた。そこに妻が来て声をかける。
「ねえあなた」
「何だ?」
絵を描きながら妻の言葉に応える。
「昼食か?」
「ええ、何がいいかしら」
「何でもいい」
こう素っ気無く返す彼だった。
「特にな」
「何でもいいの」
「ソーセージはあるか」
「ええ、あるわよ。それにね」
今度は妻からの言葉だった。
「ベーコーンにザワークラフトに」
「他には」
「後はジャガイモ。それとチーズよ」
「ならそれでいい」
言いながら絵を描き続ける。その絵は。
果物の絵だった。林檎やバナナ、それにメロンといったものだった。洋梨もある。ただし林檎はコバルトブルーでバナナは紫、それにメロンは茶色で洋梨はスカーレットだった。そんな有り得ない果物だった。
そうしたものを描きながらだ。彼はふと言った。
「しかしな」
「しかし?」
「何気にこうしたものも食べたいものだな」
「果物?それならね」
妻は夫の言葉にすぐに答えてきた。
「あるわよ。ちゃんと」
「いやいや、そうじゃない」
「そうじゃないって?」
「あれだ。こうした感じのな」
「あなたがいつも描いてるみたいな」
「こうした有り得ない果物があればな」
こう言うのだった。
「食べたいものだな」
「そうね。面白いかも知れないわね」
妻も夫の言葉に応えて言う。背の高い夫とは反比例して小柄で少しふっくらとしている。目は緑で後ろでおさげにした髪は見事なブロンドである。童顔である。
「そうした食べ物もね」
「いつも描いているものはな」
「出ないかしら」
ここで妻はふとこんなことを言った。
「絵の中からね」
「そうだな」
スコフコスもだ。妻の今の言葉にふと考えた。そのうえで言うのだった。
「それは面白いな」
「そうよね。特にあなたの絵はね」
「超現実主義だからな」
「デンマークが生
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