第2話Aパート『天使の眼孔』
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る。
パワーアシストシステム?
ヒデオは、ウィル子に心中で聞き返した。
「はい。電動アシスト付き自転車を思い浮かべて貰えれば、分かりやすいのですよー。
マスターは、動作をできるだけ言語化してイメージしてくださいっ。
ウィル子がそれを聞いてあわせるのですよー」
精神で繋がっている彼らにしかできない方法だが、これならほぼタイムラグはない。
それも実現するにはシステムを掌握してからのことだから、ともかくあと1分強は自力で何とかしなければ。
いっそ背中を見せて、遁走しようか。
「…格闘戦では、勝ちの目が。指示を」
溺れる者は藁にも縋る。慣用句のとおりに。通信機越しに作戦指揮担当者(藁)に言ってみる。
使徒は再び近づいてくる。
『兵装ビルからの援護射撃、をしたいところなんだけど。未だ稼動していないの。』
以降、愚痴が続く。軍事的な特権がまだなかったため、砲は準備できても弾薬を装填できなかったとか。
警官が拳銃を所持しても発砲は許されないようなことを連想した。
『ビル間に張った超々強化ワイヤーを上げて行動を制限するとかなら可能よ。ネット射出器は、まだ数が少なかったわよね…』
兵器的なものは法律で規制されているが、防犯装置的なものは可能だったということか。
「避けるのに。あわせて可能な限り、足元にロープを張ってください」
攻勢に転じた際に残しておくべきかとも思ったが、今をケチってそこに辿り着けないのでは話にならない。
轟然と使徒が両腕で掴み掛かってくる。手のひらの中央に銃口のような穴があることが見て取れる。掴んで、そこから光の槍のようなものを射出することが事前の国連軍との交戦で分かっている。
掴まれれば、アウトだ。防御という選択肢は無い。とにかく、避ける。距離を取る。
ロープが張られ、使徒は足を取られつんのめるが、すぐに体勢を立て直す。上半身が重く重心が高いのか、意外に足元が弱点では。とヒデオは思った。
プロボクサーでもリングのような囲われた場所でなく、逃げ回る相手を殴れるものではない。場外への退避が多くの競技で反則を取られる理由でもある。
なんとか逃げ回れるだろうかと。思ったその時――
カッと使徒の眼孔が光を放つ。
発令所のモニタがホワイトアウトから脱したとき、見えたのは背後のビルに半ば埋まる初号機の姿だった。
「マスターっ、しっかりしてください!」
気を失いかけていたヒデオは頭を振って、操縦桿を握りなおす。
距離があったからか、装甲に穴を穿つには至らなかったのは幸いだが。数十メートルは吹っ飛ばされた。そう何度も耐えられるものではないだろう。
何より予備動作がなく
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