第2話Aパート『天使の眼孔』
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MAGI。事前のレクチャーで偶々言及されたため、重点的に質問しておいたのだ。
ウィル子によれば、現在の彼女の能力ではMAGIに悪さすることは不可能だという。
性能が段違いであるし、先進的な技術が投入されてもいるらしい。
とはいえ、それ一機が本部内のすべての端末を常時監視・コントロールできるわけもなく。
末端に近いものであれば攻略は可能である。
もっとも、MAGIが定期的に生存監視・異常の検出を行っていることから力づくでの攻略は危険だ。
エヴァンゲリオンの制御コンピュータは兵器に搭載されているため、通常兵器に搭載された多くのコンピュータと同じ特徴を持つ。
熱や衝撃、浸水への耐性を高めるのにくわえ、万一異常が起こっても停止や異常終了しないようにする救済措置などが優先されている。
結果、単純な計算速度や記憶容量といったスペックは大したことのない数字になる。
そこが弱点にもなり得る。
異常と判定されないように潜り込み、MAGIに通報されないことを最優先に
ひとつひとつシステムをいじって安全な抜け道を広げているところだった。
「80秒っ、もたせてください!」
忙しそうにしながらウィル子が言う。
そもそも、なぜシステムの掌握に努めているのか?
ネルフを信用し、彼らに任せることも可能だったろう。しかし事前に得ていたネルフについての情報から、
彼らに全幅の信用などできない。何らかの保険が必要というのが、ヒデオとウィル子の出した結論だった。
決定的だったのは、「座ってさえいればよい」との司令の言葉だった。
座っているだけで戦いに勝てるなら世話はない。筈なのに断定的なその言葉。
何らかの確信があるに違いない。なのに当事者である青年にその根拠を示そうともしない。
何かある。少なくとも、その前提で備えなければ。
◇ ◇ 2 ◇ ◇
「…来た」
ビルの間から、“使徒”の姿が垣間見える。
夜空の黒とはまた違った漆黒に染められた人型の体。頭部に当たる部分はない。
肩や手など一部は一転真白く、硬い骨のようにも見える。
胸の中央にひときわ目立つ白い頭蓋骨のような仮面。ぽっかりとあいた二つの眼孔。
こちらが相手を知覚したその直後、
使徒もまた、その天使の眼孔をこちらに向けた。
使徒は無造作に、歩みをすすめる。
ヒデオは初号機を使徒の側に向けて身構えるが、どうにも様にならない。
実は、ゲームやマンガの主人公がとる構えをイメージして真似ているにすぎないのだった。
これまでの彼の人生において、力づくの争いの類の経験などほぼ皆無に近い。
小学生までは一般の男子児童に過ぎなかった。中
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