3部分:第三章
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」
清明は彼の提案に頷いて答えた。
「それではその様に御願いします」
「うむ。しかしあらためて思うのじゃが」
道長は女の霊を鎮めることを決めてからまた言うのだった。考えに耽る顔で。
「げに恐ろしきは。人の心よのう」
「人の心ですか」
「鬼は人の中にこそいる」
道長はまた言った。
「それをあらためて思ったからじゃ」
「左様ですか」
「人は鬼じゃ鬼じゃとよく言うが」
服の中で腕を組みつつ言葉を続ける。
「実はそれを言う人こそが鬼なのじゃな」
「はい」
清明は道長のその言葉には何も言わず頷くだけであった。それ以上は何も言わなかった。女の霊はこのまま鎮められた。これが宇治橋神社のはじまりであった。全ては人の心から。何もかもがそこから起こるのであった。
橋の鬼 完
2008・2・17
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