2部分:第二章
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」
その禍々しい顔に残忍な笑みを見せたうえでの言葉であった。
「このわらわの手でな」
「では来るのだ」
あえて鬼女を挑発してまた言ってみせた。
「私を殺すというのなら」
「引き裂いてくれるわ」
音もなく清明に迫って来た。爪を彼に向けながら影の様に速く。
「この爪でな」
「ふむ。確かに速い」
清明はその鬼女の動きを見て述べた。構えはそのままだ。
「この速さではそうそうはかわせぬな」
「そうだ。だから死ぬのだ」
また鬼が言ってきた。距離はさらに狭まっていた。
「わらわのこの爪で」
その言葉と共に腕を大きく振り下ろし切り裂かんとする。その爪が清明を捉えた。
かに見えた。しかしそこには清明はいなかった。
「むっ!?」
「言った筈。私は陰陽師だと」
空を切り裂いて思わず目を瞠る鬼に後ろから清明の声がかけられた。
「鬼を退治する者。鬼に倒される者ではないのだ」
「くっ、何処に」
「答える必要はない」
そう述べると。鬼の後ろで銀色の光が一閃した。
「ぬっ!?」
「この降魔刀を受けて滅びぬ妖かしの存在はない」
後ろに清明が姿を現わした。その手にはその降魔刀がある。それで鬼を斬ったのだ。
「滅びよ。そして」
さらに鬼に対して告げる。
「その罪。清められて眠るのだ」
「汝は一体何を・・・・・・」
「もう。何も言う必要はない」
これまでとは変わって穏やかな声になっていた。鬼も清明も。
「全てはわかった。だからな」
「そう」
鬼の声はさらに柔らかいものになった。優しい女の声そのままになっていた。
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