episode6
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。既にお会いになられたとは思いますが、この島にも連れ去られた子供がおります。おそらくは、その子供と一緒に逃げ出して来たのだと......」
「何が言いたい」
「はい...。聞けば、この子の故郷は随分遠くの島にあるらしく、この辺の海には凶暴な海獣もおります。我々はこの子を故郷に帰してあげたい。だが、とても無理だ。
ーー無理を承知でお願い致します。我々の代わりに、この子を故郷まで乗せて行ってはくださらんか...」
タイガーは少女を見つめる。誰がどう思っていようと、船に乗るのはこの少女だ。少女が望まないのなら、このやりとりは全て無駄になる。
少女は、自身を『コアラ』と名乗った。
ボサボサの頭にボロボロの服。笑顔を顔に貼り付けて自ら船に乗ることを望んだ。
タイガーは二つ返事で了承する。
船員たち......特に、ジンベエ、アーロン、アンカーの3人は猛反対したが、聞き入れてはもらえなかった。
アンカーはコアラを無視。アーロンに至っては、貼り付いたような笑顔にイラつきを抑えられず暴力に走った。
それでもコアラは、その笑顔でいることを続けた。その理由は船医のアラディンが説明する。
「奴隷だった頃の習性に染まっちまったんだな。笑顔をやめた途端に殺されたり、手を休めただけで殺されたり...。そんな奴らを目の前で見てきたんだろう」
腕を組みながらしみじみと語る。その言葉には真実味があった。
それもそのはず。彼もまた、天竜人に飼われた元奴隷なのだから...。
「あの子供とは、全然違うな」
誰にも聞こえないような声で、アンカーはぽつりと呟いた。
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