暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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を考え始めた。
凄まじい戦闘能力があり、今までの彩斗の窮地に駆けつけたり、助けを求めに来るなど何らかの明白な意志は間違いなく存在している。
そして彩斗には本来無いはずの異常なまでの回復能力だ。
本来備わっていないなら、何らかの外からの力が影響しているのは間違いない以上、トラッシュによる電波変換が何らかの影響を与えたことは100%正解でなくとも何らかの関係がある可能性は高い。
もしその回復能力が本来、彩斗に与えるはずの電波変換による強制的な肉体改造を緩和させているとすれば、想像の上では納得がいく。
だがそれを確かめる手段が無い。
ハートレスは椅子に寄りかかった。
そして疑問はまだある。
彩斗は映像を見る限り、殆ど防御という行動を取らずに攻撃を続けていた。
正直、見ているだけで痛みを感じそうな攻撃を受けようと、隙も作らずに反撃をしている。
まるで彩斗は痛みを感じていないようだった。

「これ以上はシミュレーションでも明らかにできない...」

彩斗の身体は既に体内で想像もつかないことが起こっているはずだ。
回復のメカニズムは脳内の回復を促す信号伝達物質かホルモンが過剰に分泌され、体内の栄養素などを使用して急激に回復させる。
だが回復を急がせるということは最終的には身体には負担になる。
本人も気づいていないが、このままでは近いうちに回復する身体の方が持たなくなるのは間違いなかった。
ハートレスはそんなことを考えながら、大きく深呼吸をした。
ここまでは全て想像に過ぎない。
全てにおいて結論付けるだけのデータが必要なのだ。

「...とりあえず血液を採取、そしてこれを...」

ハートレスはポケットからアンプルを取り出した。
ハートレスが何より恐れていたのは、彩斗が『生まれながらに持っている爆弾』のことだ。
前回、そして今回の戦闘を通してどれくらい『爆弾』の方に負担が掛かっているのか全く検討もつかない。
しかしこれを定期的に使用しなければ、彩斗の命の炎は戦い云々の前に間違いなく尽きる。
今までの施設の生活の中でも食事に混ぜたり、本人にも気づかれないように摂取させてきた。
だがもしかしたら今回の一件が、それすらも意味を成さないところまで事態を悪化させているのではないかと不安が過ぎった。
ハートレスはアンプルをしまうと再び落ち着こうと無意識にコーヒーカップに手を伸ばしていた。
だがそんな時、自分のちょうど右、リビングの入り口の方から気配を感じた。

「!?...メリー...」

「...兄さんは?」

力が抜け、疲れきった表情のメリーがそこに立っていた。
ハートレスは焦りを悟られないようにゆっくりとVAIOを畳み、ストレージを引き抜いた。
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