憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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い草食動物を追い詰める肉食動物の目線そのものだった。
彩斗は更に続ける。
「僕は冷静に考える頭は残っていた。でも自体が怒りで狂っていた。どうやったら高垣を苦しめられるか、どうやったら人質を捕らえている連中に恐怖を与えられるか...それを考えて、実行した。憎しみの赴くままに力と思考を使った、本当ならもっと時間も掛けずに倒す方法なんていくらでもあったんだ...」
「...確かに高垣を問い詰める時の「拷問」は酷いものだった...私も...見てるだけで怖くて震えたわ」
「そうだよ...高垣に対してだけじゃなかったけど、特に僕はメリーを一刻も速く連れて逃げなきゃいけないのに、高垣を怒りに任せて徹底的に傷めつけることに夢中だった」
彩斗はアイリスから目を逸らし、悔しそうな顔をしながら口を開く。
「僕は...自分自身の高垣への...いやValkyrieへの憎悪と対峙して、そして負けたんだ」
そう言うと彩斗と立ち上がり、テーブルの上の中折れ帽子をかぶる。
アイリスも同時に立ち上がると、ゆっくりと歩き出す。
彩斗の涙が乾くのと同時に、雨も止んでいた。
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