暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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ハートレスは彩斗とアイリスが外に出ていくのを確認すると彩斗の座っていた椅子に腰を下ろす。
そしてPCに表示されたデータにもう一度、目を通した。
彩斗も何か感づいているようだが、これで終わるとも考えられない。
隠しファイルや削除されたファイルがあるのではないかとロックが解除された端末の中を再び探す。

「...あの子が探して見つからないものを私が見つけるなんて...無理よね」

ハートレスはため息をつきながらキッチンでコーヒーを淹れる。
そして今度は自身のポケットから取り出したストレージをVAIOのUSB端子に差し込んだ。
深呼吸、そしてコーヒーを少し飲んで頭の中を整理した。
コーヒーには別に脳を整理する働きがあるわけでも、栄養があるわけではない。
しかし喫煙者が無意識にタバコを吸うように、無意識に心を落ち着けている行動の1つだった。
トラックパッドの上の指に力を入れ、ストレージの中のデータを開く。
そこには全く違う、もう1つの謎の迷路が待ち受けていた。

「あの子...あの程度でダメージで済んでるわけがない。一体なぜ?」

それは彩斗の身体のことだ。
トラッシュとの融合シミュレーション、その結果からすると肉体がシステムに適したものへと変えられていく。
データ上では0と1でも彩斗は肉体を持ったれっきとした人間だ。
ここまで身体に影響があれば、激痛や吐き気に襲われて食欲など消え失せているはずだ。
歩くこともままならないということがあっても、特段驚くことでもない。
なぜ彩斗はケロッとしていられるのか。
先程少し様子を観察していたが、痩せ我慢しているとも考えられない。

「ムーの遺伝子のせい?それともあの子自身の体質に何か特別なものが...?」

ハートレスは自分の知りうる限りの電波人間の知識を脳内で巡らせた。
するといくつか他にもおかしい点が思い浮かび、それにより納得できた部分が出てくる。
再び頭の中を整理するためにコーヒーカップに手を伸ばした。

「ふぅ...」

まず彩斗は電波変換出来るだけでなく、トラッシュに意識を乗っ取られていない。
基本的に人間と電波変換すれば主導権は電波体に握られることが多く、大半のケースでは人間は電波体が現実空間と電波空間、電脳空間を行き来するための媒体として実質的に乗っ取られる。
だがそれが起こっていないという事は可能性はいくつかのケースに該当しているという事だ。
1つはムーの遺伝子を持っているということ。
ムーの人間は電波テクノロジーを自由自在に操り発展していた民族だった。
そしてその体質も電波を操るものへと進化しており、彩斗やメリーを含めた『ロキの子』は人工的にその遺伝子を覚醒させられた者だ。
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