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ソードアート・オンライン 幻想の果て
三話 少年少女たちの日常
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の品々より性能がいいものがほとんどだ。

快活で物怖じしない性格のマリエル、親しい人間からはマリと呼ばれている彼女は革細工と木工のスキルをマスターしており、防具の大部分が革装備であるアルバやトールが贔屓にしている職人でもあった。

そんな彼女に付き添うように並び立つ、こちらも少年三人と顔なじみであるマリと比べ対照的な印象を持つリコは裁縫スキルをマスターしている。垂れがちの瞳に泣き黒子が特徴的で、昨今では珍しく清楚な立ち居振る舞いをしており、そのせいか彼女の店には装備の需要以上に男性客のリピーターが多いとか。

「ああ、マリちゃんやリコちゃん達みたいな職人クラスの有志が支援してくれてるお陰で俺たちもエルキンさんからハイ・ポーションの支給を受けられるんだからな、本当に感謝してるよ」

「い、いや、そんなにかしこまらなくたっていいのよ。集会側からは見返りにお客の斡旋とかしてもらってるんだし、皆には危ない橋渡ってもらってるんだから……このぐらいたいしたことないわ」

真剣に感謝の気持ちを口にするトールに困ったような照れたような表情で言葉尻をにごしながらマリは顔をそらす、そんな意思表現が素直でない少女の見慣れた仕草にシュウとアルバ、そしてリコは密かに視線を交わして密かに微笑みあっていた。

「まあ、助けられてるのは確かなんだ、一杯飲んでいかないか?アルバのおごりで」

「俺かよ!?」

「そのぐらいならいいだろ?日頃の感謝の気持ちということで、な」

シュウとアルバのそんなやり取りに赤みが差したマリの表情にも余裕が戻り、リコと顔を見合わせるとアルバを見下ろすように胸をそらして口を開く。

「それじゃあ、おごってもらおうかしら、今日はあんたら臨時収入もあったみたいだし」

目を細めにやりとしながら言われた言葉にアルバがぐ、と返事を詰まらせる。どこで彼女が聞いたのか定かではないが指摘どおり三人はレベリングに向くモンスターの情報提供で少なくはない額の報酬金を受け取っていたのだ。

「あー、しょうがねぇな!今回は、俺がおごってやるよ……次防具オーダーメイドするときはまけさせてやるからな」

「ええ考えておくわ、せいぜい頑張って上等な素材集めてきてよね」

予期せず二人分のドリンクをおごることになったアルバの恨みがましい台詞に余裕たっぷりに言い返すと、マリは不意にシュウに目を止めた。

「――どうかしたか」

見られていることに気づきシュウが尋ねる、更に正確には自分が手に持っている透き通った球形の氷と琥珀色の液体で満たされたグラスに視線が向けられていることに気づくと、ついと顔をよそに向けると黙ってグラスに口をつけた。

「シュウが飲んでるそれってアルコール・ドリンクじゃなかったっけ」

「そうだったかもしれ
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