Interview13 アイリス・インフェルノ
「じゃあ、お前は、『何』?」
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激戦は続いている。地水火風の算譜法が惜しげもなく入り乱れ、物質を蝕む触手がそれらを腐らせ無効化する。
触手の尖端がミラを狙い、ミラは四大精霊のサポートでそれを防ぐ。
「イリスッ!!」
肺の酸素を全て吐くつもりの大音声で彼女を呼ばう。
触手の動きが乱れる。
ルドガーは槍の柄で触手を弾きながら、ミラを背にイリスの前に立ち塞がった。
「どうして……」
邪魔をするの? とでも続けたそうな、悲しげな表情。
ルドガーが呼びかけただけで平静を取り戻してくれた。その信頼に、ルドガーも精一杯の誠意で事のカラクリを説明しようと決めた。
「彼女はイリスの憎んでる『マクスウェル』じゃない。尊師に化けてるんでもない」
「……どういうこと?」
「イリスが知ってるマクスウェルは、正史世界ではもう死んでるんだ。断界殻を解くために」
「――、え」
「ここにいるミラ=マクスウェルは2代目のマクスウェルだ。先代に生み出された後継者。イリスの憎んでるマクスウェルとは別人なんだよ」
目を見開いて固まるイリス。
ルドガーは骸殻を解く。もうイリスから瘴気は感じない。
やがてイリスは浮力を失って床に崩れ落ち、その拍子に人間態に戻った。
「ほんと、う、なの? マクスウェル、が、死、んだ、なんて」
瞬きもせず震える声で、誰にともなく問いかけるイリスが、とても痛ましかった。
「事実だ。私は先代からマクスウェルの座を継いだ。先代の死によって、断界殻は術者を失って消滅した」
「断界殻が開いたのは…奴が解いたからじゃなく、死んだ、から…」
「そうだ」
イリスの呆然とした独り言にも、律儀にミラは肯いた。
ミラの声に反応し、イリスはゆるゆると頭を上げた。
「じゃあ、お前は、『何』?」
「私はミラ=マクスウェル。先代マクスウェルに産み出された、人と精霊の守り手だ」
「……精霊は『鋳造』はできても『生産』はできない。お前がマクスウェルに造られたというなら……その姿形は、ミラさまのお姿に他ならない。声も、髪も、肌も、肉も、佇まいも、何もかもがミラさまで出来てる!」
イリスは拳を振り上げ、瓦礫の散らばる中に思い切り打ち下ろした。
「似姿を造るくらいなら何で本物のミラさまを捨てた! ミラさまはずっとずっと…っ…マクスウェルだけを求めていたのに!」
認めたくないけれど叫ばずにはおれない。矛盾した激情をイリスの絶叫から感じた。
ルドガーはしゃがみ、イリスの両肩に手を置いた。
イリスは他者に触れて本格的に感情の堰が切れたのか、歯を食い縛って床に爪を立てた。泣かなかった。
するとレイアが進み出て、しゃがんでイ
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