暁 〜小説投稿サイト〜
高校生エレクトローター
三十二話 遊戯(ゲーム)
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レースが終わってしまった。
下手すぎにも程があった。

「次貸してくださいっ」

「はい...」

くすくすと笑っている理奈にため息まじりにコントローラーを渡した。




レースが始まる。
するとと最下位からスイスイと順位を上げていく。

「理奈うまいなぁ」

理奈は嬉しそうに言葉を返す。

「そんなことないですよ。広翔さんが下手なんですよ。」

画面から目線を変えずにそう話す。

「そうかな?」

「天然ですね、広翔サン。」

またくすくすと笑いまじりにそう話す。理奈は少したのしそうだ。
広翔もそういうひょうじょうを見ていると自然と安らぎを感じる。

安らぎを感じたが、

「天然ってどういう?」

広翔は人に対しての《天然》という言葉を知らなかった。

「そうですねぇ...」

まだ、マリオカートのレース中。1位を独走しながら考えている。

「ぅ〜ん...、や、やさしい?」

なぜ疑問系で返してきた?

しょうがないのは彼女はまだ小学生だからだ。
姉から妹まできれいに年が一コずれている。

「やった〜1位〜」

と理奈はガッツポーズを見せてくれた。

「流石だね」

と言って手を差し出す。

彼女もそれにのって、

「がんばれ、兄ちゃん。」

そう、似合わないセリフを言うと、笑みを浮かべながらリモコンをポンと渡した。



これから広翔の修業(ゲームの)が始まる...かもしれない。

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