暁 〜小説投稿サイト〜
高校生エレクトローター
三十二話 遊戯(ゲーム)
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「加奈はごろいつかえってくる?」

広翔はそうたづねる。
加奈が勝手に広翔の入学?転校?の手続きをした事について聞きたかったのだ。

「部活動とかあるので、6時くらいでしょう。」


考え事をしながら、ふと時計を見てもまだ3時間近くある。


ーすることがないー

暇。


「ゲームでもやりますか?」

理奈がそう提案してくれた。気を使ってくれたようだ。
勉強をしなきゃいけないのだろうが、煮詰まっても仕方ないのだろう。

「見るだけなら。」

そう淡々とした表情で広翔は言った。
一瞬間をおくと

「え、やらないんですか?」

理奈は少し首をかしげる。

「見てるほうが楽しいんだよ。」

訳の分からんことを言った。
下手だからやりたくない。それが内心だった。
テレビゲームなんて6年くらい一回もやったことない。

「そうですか、わかりました。」

理奈はそう礼儀正しく言い、何か白い箱のようなモノとリモコンのようなモノを持ってきた。

「それが、ゲーム機?」

広翔は初めて見たのだった。

「そうです。《Wiin(ウィーン)》っていうんですよ。」

「へー」


どうやら、リモコンを上下左右に動かすとそれが反応して動く仕組みらしい。

このとき広翔は自分の中の時代が相当遅れていることに気づいた。
広翔の時の時代は《ゲームボーイズ》という白黒のやつが流行っていた頃だ。

理奈は簡単にテレビに接続し、電源をつけた。

広翔にはいろいろと覚えなきゃいけないことがあるのだ。そのような手順も覚えなきゃいけないはずだ。


「マリオカートっていうゲームです。」

「・・・へー」

世間知らずの広翔は感情のこもってない応答をした。





リアリティーのましたゲームに関心を引かれていた。
6年間も進化し続けていたゲームのクオリティーには体全体が引き込まれそうになっていた。

「やってみます?」

「…じゃあちょっとだけ、」

理奈に教えてもらいながらやってみる。



「・・・」

やってみるのはいいが、ド下手にもほどがあった。
だんどつの最下位でコンピューター相手にも週遅れをとっている…


微妙に笑いながら見ている理奈の姿がよこにある。


「そっ、そこ右です。」

「ほう、」

コントローラーを右に傾けながら、体も傾く。
初心者の動きさまさまだ。

「そこ左で!」

「なっ?」

コースから逸れて、落ちた。
いずれもダントツの最下位を取っている。

「むずかしい…」

と、広翔が言うと理奈はまたくすくすと笑いだす。



あっという間、一周もできずに
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