四十二話:“みんな”と分史世界
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ルドガー達がマクスバードに到着してすぐに港の貨物置き場でエルが指差して言う通りに変な人物を発見する。その人物は黒いキャスケットを被り茶色の髪をした女性で貨物の間の隙間に居座るネコを外に出そうと懸命に話しかけており、ジュードはその人物に激しく見覚えがあるので乾いた笑い声を漏らしていた。
そんな女性にルドガーとエルは勇気を持って近づくが、近づいたところでルドガーは、そんな女性の姿はエルの教育上よろしくないかも知れないと考え、話しかけるべきかどうかを女性の後ろで真剣に悩む。しかし、人の気配に気づいたのか女性は二人に気づいて慌てて立ち上がり口を開く。
『あ! 怪しい者じゃないですよ!』
『エル、俺の後ろに下がっていろ。子供は見ちゃダメだ』
『エルはこどもじゃないですー! だから変な人もみれるんですー!』
『だから、怪しい者じゃないですって!』
始めは手を大きく振りながら怪しい者じゃないと言う女性だったが、ルドガーとエルのあまりの言い草に最後は若干涙目になりながら訴えかけて来る。そんな女性の姿に知人であるジュードは憐みを覚えて助け舟を出してあげることにした。
『……何しているの、レイア?』
『ジュード!? よかった、私が変な人じゃないって二人に教えてよ!』
ジュードの出現に救世主が現れたとばかりに駆け寄る女性ことレイア・ロランド。レイアはリーゼ・マクシア人でジュードの幼馴染みだ。そして現在は新聞記者として毎日忙しく働いているはずなのだが何故だか猫と戯れているのだ。
その理由を聞くと取りあえず、あの猫を捕まえなければならないという、何かしらの事情があるらしいのだ。それを聞いたルドガーはレイアを怪しくない人間と改め、エルは猫と遊んでいた人と認識を改めた。そしてルドガーはレイアが猫を捕まえようとしているのに協力することにした。
『猫を捕まえるコツを教えてやるよ』
そう言ってルドガーはスッと懐からある物を取り出す。それを見てルルが驚きの声を上げる。ルドガーが取り出した物、それは―――
『ロイヤル猫缶だ!』
『『『餌でつるの!?』』』
『猫まっしぐらの異名は伊達じゃない。以前、兄さんが隠していた物を没収したのが役に立つときが来たな……ルル、これはお前のものじゃないぞ』
『ナ、ナァ!?』
ドヤ顔で言い放つルドガーに対して三人がツッコミを入れるがルドガーは冷静に返事をする。そんなルドガーの足元でルルがそれをくれと必死に足に縋り付いてアピールをするがルドガーは心を鬼にしてそれを断り、未だに貨物の間の隙間から出て来ない猫の前に缶を開けて置く。すると―――
『フッ』
『『『『は、鼻で笑った!?』』』』
『ナゥ!?』
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