四十二話:“みんな”と分史世界
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ガーの手配書も取り出す。そんなビズリーの言い草にエルがルドガーも自分も関係ないと庇い立てするが、ビズリーが子供の意見などを相手にするはずもなく事実を並べ立てて自らの言葉の正当性を示唆する。それに対してルドガーは反論することが出来ずに悔しそうな顔をするが、そこでビズリーからある提案が出される。
『事実なら証明してみせろ。ユリウスを捕まえれば、真実は明らかになるだろう』
『っ!? でも……兄さんは、俺が―――』
『あの男は生きている』
『数時間前、社長のGHSに連絡が入りました』
ビズリーとヴェルから聞かされたユリウスの生存報告に思わずホッとして息を吐き出すルドガー。それと同時に自分が殺したのはやっぱり兄さんではなかったのだと罪の意識もなくなり大分気が楽になる。しかし、無事なら無事でどうして自分に連絡をくれなかったのかと不満も残る。
『ユリウスは我が社のクラウンエージェントだ。警察如きに捕まえられるたまじゃない……が、“身内”になら隙を見せることもあるだろう。どうだ? やるというのなら、警察は私の力で抑えよう』
若干、身内という部分を強調しながらルドガーにそう提案するビズリー。しかし、提案という形ではあるがルドガーにはビズリーの申し出を断るという選択の余地が無い。なぜならこの提案に従わなければルドガーは間違いなく警察に逮捕される事になるからだ。
そんな酷な選択を迫られたルドガーを小猫は複雑な心境で見つめ、もし、自分が同じように姉を捕まえる様に迫られていたらどうしていただろうと考える。そんな小猫の様子に気づき黒歌は若干申し訳なさそうな顔をする。
『わかった。兄さんを捕まえる』
『迷いがないな。いい判断だ』
ルドガーは結局ビズリーの提案を飲むことにし了承の返事をする。そんなルドガーにビズリーは満足そうに頷き、ヴェルからユリウスの場所の情報を与える。その情報はヘリオボーグのバランという研究者がユリウスと交流があったというもの。そしてマクスバードで執拗にユリウスについて探る人物が目撃されているというものだった。
ルドガーはマクスバードに行ってユリウスについて探る人物と会って協力した方が早く見つかると判断して先にマクスバードに行くことを決め、移動制限解除の借金返済の為にクエストを受けに行くのだった。
「それにしてもあのビズリーという人のやり方はルドガー君を無理にでもこの件に関わらせようとしているように見えるのは気のせいでしょうか?」
「そうね……確かに怪しいわね」
朱乃の疑問にリアスも同意を示すがビズリーの真意に気づけるものはこの中にはまだ居なかった。そして再び場面は移り変わる。
『なんか変な人がいるー!』
『ははは……』
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