四十二話:“みんな”と分史世界
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と逆に聞いてみたい気分にさえなってしまう。それぐらいにルドガーの不幸は酷いのだ。そのことに黒歌達はこれが終わったらルドガーには優しく接してあげようと心に誓う。ロリコン疑惑とチャラ男の件に関しては別だが。
『ルドガー、捕まっちゃうの……?』
『いい知らせもあるんですよね?』
『ああ。君を我が社のエージェントとして迎えたい』
『俺が!?』
ビズリーの言葉に一度、入社に失敗したことのあるルドガーは驚きの声を上げる。
『驚くことは無い。君の行動を観察させてもらった結果だ。君には現状に立ち向かう意志、そしてなにより力がある』
ビズリーのその言葉にジュードたちが始めからルドガーを試す気だったんだろうと詰め寄るが、ビズリーは涼しい顔で器を計るためだったと答える。そしてエージェントになれば警察は無理にでも抑え込むとルドガーに言い渡す。
これはルドガーに選ぶ意見を与えているかのように見えるかもしれないが、実際の所はエージェントにならなければルドガーは警察に逮捕されると言っているのだ。さらには借金のことまで持ち出してルドガーの逃げ道をふさぐ。そのことにルドガーは、他に選択肢はないと諦めるが最後の抵抗として何をするのかとビズリーに聞く。
『……何をさせる気ですか?』
『“分史世界”の破壊』
先程ビズリーに渡したデータにおいても出て来た言葉だ。あのデータは分史世界を集積解析したデータで“道標”と呼ばれる物を探知する確率を上げるためのものだったのだ。
『心当たりがあるだろう』
『あの妙な世界か!』
アルヴィンと同じようにルドガーもこれまで自分の周りで起こっていた不可解な出来事を思い出して、あれに違いないと確信する。ビズリーはそんなルドガー達の様子に頷いて鉢植えに植えてある花の前に移動し、開花した花を指差し、次につぼみを指差す。
『今、我々がいるここ。本来の歴史が流れる正史世界から別れたパラレルワールド……。それが分史世界だ』
『分史世界が生まれると、正史世界に存在する魂のエネルギーが拡散していきます』
「パラレルワールド……本来ならとても信じられないけどここまで来るとむしろそうしないと説明がつかないね」
「つまり、死んだ人は全て分史世界の人間で、正史世界の人間は死んでいないということですね」
祐斗の言う通り、普通の人間からすれば到底信じられるような内容ではないのだが、今まで見てきた事を説明するにはこの話を信じる以外に道がないのだ。それは実際に体験したルドガー達ならなおさらだ。今更、あれは夢だの幻想だの言われても信じられない。
そして違う世界の存在を認めれば、アーサーの言う通りに殺した人間は全て分史世界の人間なので正史世界の
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