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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-27
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ものだから。――――赤椿!!」


 束が空に向かって叫ぶと空から一機の赤いISが降りてきた。それはゆっくりと減速し、束のすぐ隣へ風を巻き起こすことなく静かに着地する。


「これが私のプレゼントだよっ。現行ISをすべてのスペックに置いて上回る第四世代機。その名も『赤椿』」
「……あ、か」
「さあさあ、乗った乗った。さっさと初期化《フィッティング》と最適化《パーソナライズ》を始めちゃうよぉ」


「現行ISを上回る第四世代機!? いま世界ではようやく第三世代機の開発が成功し始めたところだよ!!?」
「それを身内だからって理由で箒がもらうわけ……流石に嫉妬しちゃうわね。私たちの努力が無駄だったって思いたくなるわ(でも、私は知っている。あいつは赤椿を満足に使えない。……それに束さんは言ってくれたんだ、私の甲龍は赤椿には負けないって。二次移行(セカンド・シフト)していることが前提だけど)」
「本当ですわね……。ですが、機体が最高の性能でもそれを扱う人が一流でなければ、ただの宝の持ち腐れですわ」
「……ふん」


 それぞれが言葉を交わす中、蓮はただ空を見ていた。そんな彼のもとにラウラが歩み寄る。


「兄上、動きますか?」
「……待っていろ、もうすぐ――――」
「お、お、織斑せんせぇぇぇぇっ!!!!」


 叫びながら坂を駆け下りてきたのは真耶。そのままの勢いで何か重大なことを喋ってしまいそうなのを千冬は止めて落ち着いてから真耶から話を聞く。そんな二人の姿を見たラウラは唇をわずかに釣り上げた。そして気合を入れるように拳を握りしめ、千冬の招集に従って旅館に戻って行く。


「……れんくん」
「ああ、もう潮時だ」


 生徒も教師もいなくなった入り江で二人は小さく話す。勿論、二人以外には聞かれるわけもなく、潮風に流されて波の音にかき消されていった。
 二人も旅館に向かう。これから起こることをすべて知ったうえで一芝居を打つ。IS委員会もIS学園も織斑千冬でさえも蓮と束の二人の手のひらで踊らされるのだ。


「ようやく始められるね」
「そうだな、今まで後手後手に回っていたが、これからは俺たちが先手を打つ。これはその一歩だ」


 この瞬間、二人が世界を相手にし始めた。だが、二人も予想以上の速度で戦火が燻り始めていた。






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