ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《8》〜ゴッド・アンド・マリア〜
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・スタッカートという一人の少女だった。
雪のように艶やかな肌。美の限りを尽くしたような滑らかな曲線。娼婦時代にますます磨き上げられたその美態。
「……っ」
クリスが分離したために声帯が存在せず、声が出せないクロエは、苛立たしげにタツをにらむ。しかし彼はクロエの裸体を興味なさげに見つめながら――――
「俺の勝ちです」
抜刀した巨大な剣で、クロエを刺し貫いた。
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【Second―Battle:Winner is Tatsu!!】
神が聖母を、下した瞬間だった。
***
「やぁやぁ、おめでとう、無事決勝に進出できたんだね」
控室に帰ると、既にそこには存在しないはずの先客がいた。その存在は、控室の黒い革張りのソファにどっかりと腰を下ろして、ウザったらしい笑みを浮かべている。
「……貴方は……ッ」
ニヤニヤ笑う、くせ毛と黒カソックの青年――――アスリウ。《不存在存在》、アスリウ・シェイド・マイソロジー。
今回はその傍に、もう一人別の存在がいた。アスリウの膝の上にちょこんと腰を下ろした、彼とよく似た黒カソックの少女。年のころ十二歳ほどの、黒い癖っ気のその少女は、恐らく《確定存在》アーニャ・ヤヨイ・ザドキエルアルター。
「……女連れですか」
「そうだよ。可愛いでしょ、アーニャだよ」
タツの嫌味に馬鹿正直に答え、少女――――アーニャの頭をなでるアスリウ。アーニャの方は嫌がるそぶりを見せながら、その内心まんざらでもないのが目に見える、謎のコンビであった。
まるでタツを苛立たせるためだけにいるのかと錯覚しかねないほどのウザったらしさに、タツは今にも、神より授かった巨刀を抜き放ちそうになってしまう。そこでこの男には効果が無いのだ、と思い出し、思いとどまり――――
この少女にならどうだろうか、と思い至った。
アーニャと言う少女は、アスリウにとって自らよりも大切な存在であると《全知全能》は言った。ならばかの少女を人質にでもとれば、アスリウに一泡吹かせられるのではないか――――
そう考えたら、もう体は止まらなかった。即座に抜刀、アスリウの膝の上の少女に手を伸ばし、彼女に刃を突き付けて引きずり下ろす――――
しかしその動作は、少女自身の手によって止められた。
タツの刀が。
神々から授けられた巨剣が。
少女に《吸収》されて、消えていったのだ。
「なっ……」
「……? 何だこれは。つくりが粗い剣だな……ああ、なるほど、神気で強度を増すように創られてるのか。効率的だが使用者に優しくないな。神じゃないと使えないじゃないか……ほらもっと使いやすくしてやったぞ。感謝して
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