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剣聖龍使いの神皇帝
第2巻
亜鐘学園理事長の思惑と企み
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葉と一緒に居られるし、前世での彼女と同じようなスキンシップが出来るからだ。

「妄りに男を近寄らせるなって口やかましかったのに、どういう心境の変化かしら?漆原家の人間は、お家のためにならない結婚何てしてはいけない決まりでしょう?」

ここはいつも言われてた事を言った方が、嫌な予感というのを諸葉がそのまま揉み消してくれるので、そのまま会話をしていた。零家と漆原家では断然零家がランクが上である。

「心境などというつまらないものではなく、状況変化だよ。灰村君は逸材であり、必ずや将来、白騎士機関で台頭すると私はそう見ているが、彼がCB所属という事が予想外だった。予想外ではあるが、CBと繋がりを強くしたいという白騎士機関でもあるので、お前の婚約者候補として置いておくつもりだ」

「諸葉を漆原家の道具として取り込むつもり?」

「聞こえが悪いねえ。出来れば共に、立身栄誉を分かち合いたいと言っているだけだよ」

「何かしらを企んでいるの兄さん?諸葉に何をさせるつもり?」

兄は自分の野心や漆原家の繁栄のためならば何でもする。誰だって犠牲にして、微塵も後ろめたさを覚えない。十年来の友人を罠にハメて資産を奪い取るというのは、朝飯前であり、家族だって駒扱いとしか見ていない。大切な友人の人生を壊すならと思うと、怒りを露わにさせようとしたがここはあえて兄の心情聞いてからにしようと思った静乃であった。

「答えて、兄さん」

「なぜそれをお前に答えてやらねばならん?」

「やはり答えられないような事を、諸葉にさせるつもりなのね?」

静乃は冷たい気迫を籠めた声で問い詰め続ける。

「家の決定だ。お前はただ肯定すればいい」

兄が振り返り、静乃よりも冷たい瞳で見た。他者に命令する事に慣れた、権力者の瞳。この兄は故に他者の言葉に決して耳を傾けない事で、子供の静乃には抗う力はないと思われている様子だった。兄も零家からの報復は恐いが、まさか零家の者がすぐ近くにいるだ何て微塵も思ってないだろう。静乃も兄も灰村諸葉の事を三人目の神皇帝だと思われるが、その正体は灰村諸葉=零達也=織斑一真であり本人だからだ。

話が脱線しかけたが、一つ上の兄は封建的な漆原家に嫌気が差し、自由を求めて出奔した。しかし行く先々で漆原家が手を回し、職を得ようにも断られ、住処を得ようにも大家に拒否され、最後は無残なまでにやつれ果てた姿で漆原家に回収された。今は療養という名目で、実際は家に逆らった咎で僻地に幽閉されている。静乃とて家にいれば言いなりにならざるを得ないし、外に逃げても同じ末路を送るだけだ。《救世主(セイヴァー)》だろうが、仙人のように霞を食べて生きる事は出来ないし、まさか闇術で人から金や物を強奪して糧とするような生き方は出来ない。唯一と言えば、静乃の味方
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