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真夏のアルプス
第2話 再び出会う
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意していた支離滅裂かつ情熱的なセリフの数々を吐き出そうと修斗が口を開けた時、その彼女の顔色がサッと変わった。


「危ない!」


初めて聞いた彼女の声は、その一言で、修斗は次の瞬間、後頭部に強い衝撃を受けて昏倒した。




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「あ、あれ……」


修斗が次に目を覚ましたのは保健室のベッドの上だった。頭がジン、と痛み、ボウっとするが、その視界に、その顔が割り込んできた瞬間、目は覚めた。


「あ、気がついた」
「!!」


横たわる自分を見下ろすその顔は、天使か、女神か、とにかく修斗にとっては、人知を超えた美しさを持った何かにしか見えなかった。口が何かを言おうとパクパクと動くが、あの衝撃で言いたかったセリフが飛んでしまったのか、言葉が出てこない。


「ごめんなさい。また兄が、兄バカを発揮しちゃってね」


女神様の顔が、困り顔に変わる。その視線は、ほら、謝ってとでも言いたげに、修斗から別の方向に移る。修斗がその視線を追ってみると、保健室の窓辺に腰をかけた坊主頭の少年が目に入った。


「何を言ってるんだ。妹に近づく悪い虫を駆除するのは兄の役目だろ」


全く悪びれもせずに言った少年の手には、硬式ボールが握られていた。

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