4部分:第四章
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第四章
「そうだよ」
「それも何かあるの?」
「それでしまいじゃ」
語る祖父の目が少し寂しくなった。
「あの娘と遊べるのは一冬だけ」
「一冬だけかあ」
「何か寂しいなあ」
「姿が見えるのも一冬だけ」
こうも言い加えられた。
「寂しいか?それは」
「やっぱりなあ」
「そうだよな」
隆明と尚志はその言葉を聞いて頷き合う。やはり楽しい思い出であるからだ。
「今度は他の子供達があの娘と遊ぶ」
「俺達はもう無理なんだ」
「やっぱり」
「姿を見ることもできないぞ」
勉の祖父はそう付け加えてきた。
「わしもそうじゃったしな」
「何だ、じゃあもう全然駄目じゃないか」
「がっかり」
「まあそう言うな」
そう孫達に言うのだった。また穏やかな目になって。
「いなくなるわけじゃないからな」
「そうなんだ」
「他の子供と遊んでいるだけじゃ。ずっとおるよ」
「それじゃあさ、御爺ちゃん」
勉は祖父に尋ねた。
「僕達の後輩がこれからあの娘と遊ぶんだね」
「そうじゃ。その話を聞いたりもするじゃろうな。今のわしみたいに」
「何かその話。聞きたくなったよ」
「そうだな」
英行達も勉の言葉に頷く。それまで如何にも残念そうだった顔が晴れやかで楽しげなものになっていた。もう迷いはない、そうした顔であった。
「これからな」
「聞けるかどうかわからないけれど」
「きっと聞けるぞ」
祖父の声はあくまで温かかった。全てを知っている声であった。
「じゃからな。きっと」
「うん」
「その時まで」
祖父に対して言う。こうして彼等は女の子と遊んだことを胸に収めそれを楽しい記憶としたのであった。そうして月日が流れて。
同窓会だ。英行達はずっとこの街にいた。かなり頻繁に会っている。だがこうしたふうにお互いに会うのは珍しかった。その席で英行が言った。
「俺の子供今小学校だろ」
「ああ、そうだったな」
「もうそんなになるのか」
それを聞いて隆明と尚志が言う。見れば皆かなり大きくなっていて声も変わっている。だがそれでも幼い頃の面影もまだ残っていた。
「この前な、遊んだらしいんだ」
「遊んだっていうとあれか」
「あの娘と」
「ああ、同じだったよ」
にこやかに笑って二人に告げる。そこには勉もいる。ラフな格好でビールを手にしながら放しているがその顔は少年の頃のままになっていた。
「楽しくやったってさ」
「そうか。そこは同じなんだな」
「ああ、同じさ」
英行はそう三人に告げた。
「あの娘もな」
「それを聞いて安心したよ」
勉はまだあの頃の思い出が残る穏やかな顔にすっと笑みを浮かべて述べた。
「変わらないんだって。御爺ちゃんの頃から」
「ところで御前の御爺さんまだ大丈夫か?」
「うん
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