4部分:第四章
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、まだまだね」
穏やかな笑みを英行に見せて答える。
「元気だよ。矍鑠たるっていうのかな」
「そうか。それはよかった」
「ただね。一つだけいつも言ってるんだ」
「一つだけ?」
「うん、あの娘に会いたいって」
そう英行達三人に告げた。
「言ってるよ」
「それは俺達だって同じだよ」
その言葉を聞いて隆明が言った。
「俺達だってまたな」
「そうだよ。大人になったらもう会えないなんてな」
尚志も言う。
「いや、あの一年だけしかなんて。寂しいよ」
「けれどあの娘はまだいるんだぜ」
英行は寂しがる二人に対してこう声をかけた。
「俺達は見えないだけで。だから」
「寂しがることはないか」
「そうだよ。俺達の子供達があの娘と遊んでいればそれでいいじゃないか」
「そうか」
「ああ、そうさ」
そう二人に告げる。
「そうして何時までもずっと」
「子供達はあの娘と遊んでね」
勉が最後に言った。今彼等がいる校舎からはあの校庭が白く化粧をしてそこにあった。その白い世界の中で子供達が遊んでいる。そしてあの娘も。もうその姿は彼には見えはしないがそれでもそこに確かにいるのだった。
雪ん子 完
2007・9・16
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