4話 「自称ビジネスパートナー」
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ナリーとそれを統括する「審査会」の支配下にある。マーセナリーはここを拠点にリメインズ攻略を行いながら、依頼があれば護衛任務やならず者の討伐なども受けて生計を立てている。
中にはリメインズ攻略に手を出さずにその手の依頼をこなして生計を立てる者もいる。が、そういった仕事は決して多いとはいえず、流浪の剣士や冒険者ギルドなどの「非正規傭兵」に仕事を取られる場合も多々ある。
リメインズに入ればもっと多額の報酬を狙えるため、やはりマーセナリーの殆どがリメインズに挑む。
自分の命を省みることなく。
マーセナリーは命知らずのヒトの屑がやる仕事だ。
例えば、まだ見ぬ技術を見つけるためならば己が命を惜しまない狂人。
例えば、借金で首が回らなくなり、一獲千金を目指しリメインズに訪れる者。
例えば、実力はあるが公の場を追われて命を持て余した人格破綻者や犯罪者。
もう方法が無い。もう居場所が無い。もう満足できない。
本当の本当にどうしようもない、ろくでもない精神と社会的な地位に追いやられ、最も大事であるはずの命を放り投げる。そんなどうしようもない状況にまで流されてしまったヒトの屑。
だが屑であろうとヒトはヒト。社会を捨てて繋がりを断ってまで生きていけるほど強くはない。
俺もまた、ヒトの世話になってこの町で生活している。
上質な木造建築の、俺の最古の友人が経営する宿、「泡沫」。そこが俺の家のようなものであり、唯一戦い以外で安息を得られる場所。
扉を開くと、扉についた鈴がカラカラと鳴った。その音が聞こえたのか従業員の一人が飛び出して来る。
「いらっしゃいませー!!……お、ブラッド兄ちゃんとナカリアか!おかえり!」
「ただいま、ナージャ」
「ただいまー!もうお腹ペコペコだよ〜!」
出迎えたのは清潔感のあるエプロンを身に纏って快活な笑顔を見せる少女。
薄紫の髪を掻き分けるように生えた額の「角」が白く輝いている。
彼女の名前はナージャ。この宿の看板娘であり一応ながらマーセナリーでもある。彼女はライノムという有角種族の出であり、突進力と馬鹿力に定評がある。そのため普段は宿の経営を手伝うが、時にはその怪力でリメインズ攻略に参加することもある。
いつも白い角と白い歯を自慢にしている彼女の笑顔は、不思議と生活空間に戻ってきた実感を与えてくれた。
「メシの準備はおおかた出来てるから先に行ってな!……っと、ブラッド兄ちゃんは悪いけどおやっさん呼んできてくれない?どうせ装備品のメンテもおやっさんにして貰うんだろ?」
「ネスの奴、また工房に籠ってるのか……分かった、呼んでくる」
普通ならば従業員が客をこき使うなど考えられない事だろうが、俺はこの宿が建ったその日から客としてここに住んで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ