4話 「自称ビジネスパートナー」
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「あの怪我をしたセリアという女。あいつは立ち直って再チャレンジを申し込むかもな」
メンバーの中で彼女だけが悔しさに顔を歪めていた。他の連中は仕方がないのだと惰性で現実を受け入れたが、それは諦めと逃避に他ならない。だが、あの女だけはそれをやる根性があるように思えた。
無論実力は足るまいし向いていないとも思うが、見込みだけはある。
ベネッタはその話を聞くと、再び手元の資料に何かを書きこんだ。
「……覚えておきましょう。それと、お連れが入り口でお待ちですよ?」
「分かった」
淡々とした会話を終え、互いに歩き出す。
すれ違った時に見えた彼女の目は――やはり俺に対する軽蔑の感情が揺れていた。
(しかし連れと言っていたが、まさかわざわざここまで来ているのか?)
連れというのは、ここ最近に半ば押しかけでコンビを組まされている少女――と言っていいのかは分からないが、とにかくその女のことだろうと当たりは付いている。
実力はあるのだが、騒がしくて鬱陶しい上に女だ。俺のようなつまらない男にとって女と言うのは魔物以上の大敵になりうる。しかも手ごわいくせに戦っても楽しくない。何とも理不尽な存在だ。
かといって他にコンビを組む相手はいないし、何より親友も彼女に友好的なために無碍に追い払う事も出来ない。おまけにこのコンビ契約は審査会の下で正式に結ばれた物であるため、正当な理由なく解除することもままならない。
「ったく、ベネッタの奴め。俺を教会のシスターか何かと勘違いしていないか?何故こうもガキの面倒ばかり……」
彼女のパートナーとして俺を斡旋したのもまたベネッタなので、元凶はあの女なのだ。行き場のないもやもやとした感情を覚えながらも病院の出口までいくと、予想通り彼女が壁に寄り掛かって退屈そうに待っていた。
「あ!遅かったですね、ブラッドさん!」
こちらに気付いた彼女は、ぱっと顔を輝かせてこちらに歩いてくる。
褐色の肌をむき出しにするような、上半身だけ露出の目立つ防具のない服装。子供のように華奢で小さいのに、女性らしい膨らみを帯びた体。微かに青み掛かった銀髪が光を反射してキラキラと光る。宝石の輝きを彷彿とさせる美しい翡翠色の瞳がこちらを見つめた。
「町で偶然ベネッタさんに会って、ついてきちゃいました!」
いたずらっ子のように舌を出してテヘヘ♪と照れたように頭を掻く少女。
これが正式な契約を交わした自分のパートナーだと思うと涙が出てきそうになる。多民族の行き交うこの第四都市においてもひときわ目立ち珍しい特徴を持ったこの少女こそが俺のビジネスパートナーだと……要らぬ面倒が増えるのだ。
当の本人は自覚があるのかないのか、一方的に喋りたいことを喋ったりドジをしたりと、一
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