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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 07 「レヴィのお返し」
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がどこかに行ってしまった。
 水と袋って……俺は酔っ払いじゃないんだけどな。気分は悪いけど……吐くほどではないし。少しすれば良くなると思うんだが。

「……ショウ、ごめんね」
「謝らなくて……いい」
「でも……ボクのせいで――ぁ」

 泣きそうになるレヴィの頭に、俺はそっと手を置いた。優しく頭を撫でながら、可能な限り元気を振り絞って話しかける。

「馬鹿……今日はお前を楽しませるために来てるんだ。バスでも言っただろ? お前の好きなところで遊んでやるって。だから気にすんな……俺は、泣いてるお前より笑ってるお前が好きなんだから」
「ショウ……うん!」

 溜まっていた涙を拭いながらレヴィは笑う。
 それを見た俺は一度微笑みかけ、再び下を向こうとした。だが不意に頭を触られ、誘導されるように体ごと倒される。俺の頭が辿り着いた先は、程よい高さと弾力感の何か……ふと視線を上空に向けると、日光を誰かの頭が遮る。

「こっちのほうが楽でしょ?」

 その言葉を聞き終えると共に俺は状況を理解した。俺は、レヴィに膝枕されているのだ。
 はやてに膝枕をしてやったことはある気がするが、膝枕をされるのはこれが初めてかもしれない。普段ならば、人の目がある場所でこのような行為はしたくないのだが、今は気分が悪いせいか安心感を覚える。

「……吐いても知らないぞ」
「え、それは嫌だ。でもこうする。危なくなったら突き飛ばせばいいし」

 嫌に突き飛ばすって……本当に素直だよな。
 けれど不愉快な感情は浮かんでこない。この素直さがレヴィの悪いところでもあり、良いところでもあるのだ。ここまで堂々と言われては、むしろ清々しさを覚えるものだろう。

「ん……あんまり動かないでよ。こそばゆいじゃん」
「だったら今すぐ……退いていいぞ」
「だから危なくなるまではこうするって言ってるじゃん。それに……一度こうしてみたかったんだよね。いつもしてもらってばかりだったし」

 レヴィは笑いながら俺の頭を撫で始める。人を撫でることに慣れていないせいか少々乱暴だ。だが彼女の温かな心は伝わってくる。
 このまま大きくなったらどうしよう、なんて不安に思ったりするけど……レヴィはこのままでもいいのかもしれないな。よくよく考えてみれば、抱きついたりしてる異性って俺くらいだし。無意識の内に異性との距離感は取ってるんだろう……多分。
 まあ俺がこう考えたとしても、ディアーチェあたりはずっと目を光らせてそうだけど。あいつは面倒見いいから……そういやあいつ、今日どこに行ったんだろうな。



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