番外21話『かみなりに打たれて』
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がさえない理由。自分だけが覇気を操っていることへの申し訳なさ、というところだろう。もしも彼が覇気の技術をルフィたちに教えることが出来ていたらもっと今回の、いや全般的に戦闘が楽になるのは目に見えている。
師匠ジンベエの下で、気づけばそれを使えるようになっていたハントでは覇気を教えることは出来ず、その習得方法の見当もつかないため覇気を教えることは出来ないと既に船員、特にルフィ、ゾロ、サンジの3人には伝えてあるもののやはり気が引けるのは仕方がないことかもしれない。
いや、正確には習得方法に覚えがないわけではない。自分が師匠ジンベエにしてもらったことを彼ら3人にもすればいい。すなわち……毎日組手でもって半殺しにする。少なくもハントはそうやって覚えたし、ルフィたち3人ならばそれで覚えられるとハントは思っている。
ただし、いや、だからこそ、それが出来ない。いや、半殺し自体はおそらくハントなら出来るだろう。身体能力差に加えて覇気の差もあればそれ自体は問題ではない、問題なのは半殺しにしなければならないことで、半殺しにするにはもちろん戦わなければならないわけで、つまりは戦う場所が必要になる。
例えばハントが彼らと戦うとしておそらく、いや、絶対に……メリー号が壊れてグランドラインの海に沈むことになるだろう。流石に船の状態を気にしながら半殺しにされるほどに、そもそも彼らは弱くない。
だったら陸地についた時だけでも、という考え方もあるが、はっきりいってログがたまってすぐに出発という、覇気を覚えるには到底足りないような短い滞在日数を費やしただけで覇気は習得できるものでもない。
まぁ、つまりは、結局。
ハントには覇気を教えることは出来ないのだ。自分は知っているのにその技術を教えることが出来ない。それが彼は申し訳ないと思っている。
とはいえ、そんなハントの申し訳ないという気持ちとは裏腹に麦わら一味にそのことに対してハントへと恨みを抱いたりという暗い感情を覚える人間はいない。というかそもそも誰も気にしていない。
「黄金かぁ、こんな冒険待ってたんだ」
ルフィが言って。
「そうこなくちゃ、話が早いわ」
ナミがにやけて。
「コラコラ、ルフィ。お前さっきのゲリラの忠告、忘れたのかよ」
「神が怒るぞ」
ウソップとチョッパーがビビって。
「フフ……面白そうね」
ロビンが楽しそうにして。
「まぁ、海賊がお宝目前で黙ってるわけにはいかねぇよな」
「敵も十分、こりゃサバイバルってことになるな」
サンジとゾロが笑みを浮かべて。
あくまでもハントに対して何かを思うことのない彼らに、ハントは少しだけ間の抜けた表情をして、それからその表情を崩してからつぶやく。
「宝探しも面白そ
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