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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日・夜:『黒夜』
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此方を見遣る。それは底冷えがする程に、嗜虐的な瞳だった。それは底冷えがする程に、無慈悲な瞳だった。
 それを暗澹たる瞳で見遣る。陰惨な蜂蜜色の黄金瞳で、遠く空の彼方の三日月と朧な星影を浴びながら決意を固める。


──ヤるしかねェな……幸いと言うか何と言うか、彼女らは麦野沈利達には俺の事は報せてない。それは、“剱冑(ツルギ)”の『音響探査(ソナー)』で把握した。
 同僚の初春飾利に、下級生蘇峰 古都(そほう みやこ)にそうしたように『空白(ウィアド)』のルーンを刻んで記憶を消す。それしか、手は残されてねェ。


 漸く自由になった右手で『兎脚の護符(ラビッツフット)』から、頭痛と共に『空白(ウィアド)』のルーンを励起する。闇に煌めく無色の励起光を、誰も見る事は出来ない。後はなんとか、触れる事が出来さえすれば。


「──良い眼ェすンじゃねェですか、まるで餓狼ですねェ」
「結局、私らに何かあれば送信予約してあるメールが麦野に届く訳よ。下手な事はしない方が良いのよね」
「………………チッ」


 だが、このルーンは『空白(ウィアド)』。他の文字(ルーン)とは併用が出来ない。自然、『話術(アンサズ)』や『博奕(ペオース)』の消えた状態となり、暗部として経験を積んでいる彼女達にそれを見咎められてしまう。舌打つも、もう取り返しはつかない。
 それでなくとも『正体非在(ザーバウォッカ)』等と言う能力を騙り、詳細を明かしていないのだから警戒はされていたのだろうが。


 『空白(ウィアド)』のルーンを終息させて、代わりに『話術(アンサズ)』のルーンを励起して。
 何にせよ、これで四面楚歌だ。後は鬼が出るか蛇が出るか、なるようにしかなるまい。


「それじゃ、とりま散歩でもする訳よ」
「わ〜い、全男子の夢『両手に花』だァ。美少女二人に挟まれてうーれしーいなー」
「………………」


 嘲笑うフレンダに促され、()()()()()()()()()()()()()()()()()。巫山戯つつ店外に向かう。無論、背後は殺意を隠しもしない最愛に固められていて逃げ場はない。
 師父には告げない。告げなくても、理解しているだろう。それでも手や口を出してこないのは、信頼からか諦観からか。何にせよ、一人でやるしかないのは確か。


 そんな、夜の闇の底で。まるで、処刑の為に市中を引き回される罪人のように。
 無貌の夜鬼(ナイトゴーント)がせせら笑うかのような風力発電塔の軋む音を、遠く聞きながら。


………………
…………
……


 時刻、二十一時四十五分。場所、第七学区のとあ
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