第13.5話 終戦のクサナギ
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いたカツコは足を止めた。
「‥‥‥そんなの‥‥‥‥決められないわよ‥‥‥‥‥‥」
彼女は力なく、そうつぶやいた。
カイエンも訊いておきながら、少し後悔した。
「‥‥‥‥すまん、酷な事を訊いてしまったな」
そう言って、少し離れようとしていたが
それを彼女が腕を掴んで引き止めた。
「でも‥‥‥‥こんなんじゃお母さん失格よね‥‥‥
分かってる。分かってるけど‥‥‥‥‥」
「そんな事ありませんよ」
「!!?」
突然の声に二人は驚いた。声の方向を見ると
そこには一人の男が立っていた。
「お主は‥‥‥確か、草薙と言ってたかのぅ?」
「そう、その草薙です」
草薙はそう答えながら少し距離を縮めた。
そして、カツコの目の前に立った。
「別れとは寂しいものです。しかし、ハトはそれを耐えました。
あなた達が森の奥まで行った後に泣いていました。
それなのに、あなたが帰って来てしまったら
彼女が耐えた意味が無くなってしまうんです」
草薙は彼女の肩に手を置いた。
「だから、探してあげてください。実の子じゃなくても
もしかしたら待っているかもしれませんから」
彼はそう言って、カツコから手を離した。
彼女はしばらく黙り込んでいた。
「‥‥‥‥そうね。そうよね!寂しいこと言ってられないわ!
あなた!一刻も早く探しに行きましょう!!」
「‥‥‥‥そうじゃな」
カイエンは、立ち直ってくれて良かった、と思いながら返事をした。
「フフフ‥‥‥‥‥」
草薙も彼女の立ち直りを見て微笑んだ。
その草薙にカイエンは深々と礼をした。
「ありがとうのぉ、草薙」
「いいえ。困っている人を助けるのは
人間の誰もがもっている能力の1つですから」
草薙はそう言って謙遜した。
そんな草薙を見たカイエンは質問をした。
「‥‥‥お主。メガネを掛けたら誰かに似とるのぉ」
「そうですか?」
「名前も似た感じじゃし」
「あの‥‥‥‥余計な詮索は控えていただけますか?」
「そうよ!そんなことしたら失礼じゃない!」
二人がそう言うので、カイエンは折れた。
「‥‥‥‥‥そうじゃな。すまんかった」
「いえいえ、全然大丈夫ですから」
そう言いながら、草薙は森のさらに奥へと歩き始めた。
「私はただそれを言いに来ただけですので、それでは」
手を振りながら、彼の姿は森の奥に消えていった。
「草薙‥‥‥‥か。まったく、得体の知れん男じゃ」
「だから、そんなこと言ったら失礼でしょう!」
「はは、そうじゃな」
そんなことを話しながら、彼らは北欧へと向かう道を進んで行った。
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