第13.5話 終戦のクサナギ
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走って言った。
残りの全員もそれを歩いて付いて行った。
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森の奥の家に住み始めてから1年が経った。
ジョンはすでにサウジアラビアに旅立っていた。
ハトはカツコから主婦の業を伝授してもらっており
セキレイはカイエンから対剣術戦の徒手での戦い方を習っていた。
そして、ついに二人の出発の時が来たのである。
「グスッ‥‥‥おばちゃん、今日で行っちゃうんだ‥‥‥」
ハトはカツコの胸にうずまったまま泣いていた。
カツコは笑顔で彼女の両肩に手を置いた。
「何よ、ハトちゃんがそんなに悲しい顔してたら
私たちが行きにくくなっちゃうじゃない」
頭を軽く撫でながらそう言った。
セキレイもハトに歩み寄ってその肩を叩いた。
「そうだぜ?ハト。カイエンが剣まで教えた孤児と
もう一回会うためにヨーロッパに行くんだからさ。
ハトだって生き別れた弟がいるんだろ?」
彼はうずまったままのハトに向かって言った。
それでようやくハトは顔を上げた。
そして、一歩ずつ離れて行った。
「‥‥‥‥いつか絶対に帰って来てね」
ハトは涙を拭いながら言った。
カツコは笑顔で大きくうなずいた。
「えぇ、絶対に帰って来るからね」
その眼からは少しだけ光るものが見えた。
やはり、彼女も耐えられなかったようであった。
「行くぞ、カツコ」
「分かってるわよ」
そして、カイエンの後に着いて
森の向こうへと歩いて行った。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥うぅ‥‥‥‥う、うぅ‥‥‥ううううう
うあああああああああああああああああああああんッ!!」
ハトはセキレイに抱きついて泣き始めた。
丁度、二人の影が完全に森の中へと消えた瞬間だった。
「よく我慢したな。偉いぞ、ハト」
それぐらいしか彼は言えなかった。
その後はしばらく、ハトが泣き止むまで頭を撫で続けていた。
**********
「うぅ‥‥‥グスッ、グスッ」
カツコは涙をハンカチで拭きながら
森の中を少しずつ歩いていた。
「なぁ、カツコ。いい加減泣き止んでくれんか?」
カイエンは彼女の肩に触れてあやしていた。
しかし、カツコは涙を流しながら言った。
「だって‥‥‥1年も一緒に過ごして娘のように可愛がってきた子と
離ればなれになっちゃうのよ!?そんなの‥‥悲しいに決まって‥‥‥‥」
そして、また泣き始めた。
カイエンはしばらく何も言うことはできなかった。
そして、ようやく口を開いた。
「じゃあ、カツコ。ハトと一緒に残るのと、あの子を探しに行く。
お前はどっちを取るんじゃ?」
それを聞
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