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鎧虫戦記-バグレイダース-
第13.5話 終戦のクサナギ
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い。
数年前、外で一人の子供に剣術を教えていたが
現在はその行方が分かっていないので、探したいと思っている。




「父さん!」

遠くから、赤髪の男が駆け寄って来た。
赤い頑丈そうな鎧に身を包み、腰に剣を携えている。

「おぉ、アレックス!久しぶりじゃなぁ」

カイエンが声をかけた瞬間、一つの影が
全員の間をすり抜けて突っ込んで行った。

 ダダダダダダダダダダダダダ!

「アレックスぅーーーーーーーッ!!!!」
「うわっ、母さん!?」
 
カツコだった。彼女は彼に勢いよく抱きついた。
施設内での冷静さとは打って変わっての
大胆な行動だったので、セキレイたちも驚いていた。

「嬉しいわ、こんなに大きくなってくれて‥‥‥‥」

カツコはアレックスの頭をよしよしと撫でながら
しみじみとした表情を浮かべていた。

「母さん、俺もう子供じゃないんだから恥ずかしいよっ」

アレックスは顔を赤くして彼女を見た。
カツコは泣いているように見えた。

「アヴァンだけじゃなく、あなたまでいなくなったら
 私もう‥‥‥‥‥生きていけない‥‥‥‥‥‥‥」

ポロポロと涙は頬を伝って地面に落ちた。
アレックスはそれを見て何とも言えない表情になった。

「お、俺は!兄さんの分まで絶対生きるよ!!
 だから泣かないでよ!母さんが泣いてると
 俺も悲しくなってくるからさ!」
「‥‥‥‥‥‥えぇ、そうね」

ようやく彼女は泣き止んでくれた。
それを見たアレックスはホッとした。

「おにーさんはおばちゃんの子供なの?」

ハトは彼に向かって訊いた。
彼は大きくうなずいた。

「はいッ!母がお世話になってます!」
「いや、むしろお世話になったのはおれらの方だから」
「え、そうなんですか?」

元気だが、やや天然なのだろうか?
セキレイは彼を見ながらそう思った。

アレックスは咳を一つして、場の雰囲気を変えた。

「蛹さんから話は聞きました。
 ハトさんとセキレイさんはどこにいますか?」

二人は手を上げた。それを確認した後
彼はゆっくりと二人に歩み寄った。

「この先にある家でしばらく過ごしていてください。
 安全は、我々が命を懸けて保証します」

我々と言うことは、他にも複数人隠れているのだろうか。

右腕を地面と垂直にし、拳を心臓の位置において
彼はセキレイたちに向かい、そう言った。
十字架をイメージしたかのようなそのポーズからは
彼の誠意の強さが示されていた。

「何で、見ず知らずのおれ達の為に
 ここまでしてくれるんだよ?」
「何かを貰ったら、それを少し増やして返せ。
 父さんが俺に教えてくれた言葉です。
 貰った嬉
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