第25.5話 憎しみの記憶
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そうすれば、少しは痛みが引くらしいです」
一応、本当に聞いた事だ。善意でしたつもりだが
男はただのたうち回るだけで、痛みが引いた様には見えなかった。
周りからは、君は知識不足と笑われるだろう。
「‥‥‥‥‥あ、そう言えば」
さっき守った少女の方を見た。
彼女は私が男に行った行為に驚いたのか、失神していた。
「これはしばらく起きないな。誰か、この子を頼む」
そう言うと、近くのおじいさんが荷物を置いて駆け寄って来た。
おじいさんは少女の肩を支えると、彼に質問した。
「一体、君は何をするつもりなんだ?」
その問いに私はすぐ答えた。
「世界の理を‥‥‥打ち砕く」
そう言って私は屋敷へと向かって行った。
**********
「たった一人の反逆者も鎮圧できんとはどういうことだ!」
数に物を言わせただけの白兵戦で
不死の私を殺せると思っているのだろうか?
もしも本気でそう思っているなら、愚か者にもほどがあるだろう。
最近、もう一つ分かったことがあった。
それは、私は″虫″であるということだ。
故に蔑まれていたのだ。故に踏みにじられていたのだ。
私は蟻。
飛んで来る弾丸や刃は身体を貫かずに弾かれていった。
″虫″と同じ骨格を私は手に入れていた。それはいつ?
私にも分からない。生まれた時なのか、それとも‥‥‥‥‥
兵士たちの身体を紙屑のように千切ってみせた。
5、6人程で他の兵たちは逃げるようになってきた。
「何をやっているお前たち!私を守れ!私を―――――――」
パキッ
それがこの屋敷の主が放った最後の言葉だった。
この男の首から上にあった丸い部分は、私の右手の内にあった
傷口から噴水の如く血が吹き出した。
それは、傍から見れば非常に滑稽にも思える光景だった。
**********
「まさか、こんな素晴らしい食事会を開いて頂けるなんて光栄です」
長いテーブルの上に並べられた料理を前に
男は席から立ち上がって代表の一言のように言った。
「でも、一体どんな料理なんざましょう?」
銀色のドーム状の物で蓋をされた料理を見ながら
いかにも狡猾そうな女はつぶやいた。
「皆様のお気に召すであろう御料理でございます」
私は深々と礼をしながら言った。タキシードに身を包んで。
金と地位にしか興味のない者たちは
私が奴隷であることなど想像もしないだろう。
所詮、使用人など誰でもいいのである。それが、奴隷であっても。
「‥‥‥‥‥‥良い使用人たちですね」
私の後ろに座っている男はそう言った。
私は、何故そうおっし
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