悪魔合体
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なって戻ってきやすから。大体、悪魔がサマナーの仲魔になる最大の理由の1つが悪魔合体なんすよ。迷う必要ありやせんよ」
「いくら本体でも、LV差があるんだぞ。下手をすれば逆もありえるんだぞ!」
「かー、情けねえ。俺のサマナーがこんな甘ちゃんの坊やだったとは。いい加減、愛想がつきますぜ旦那。いえ、今のあんたには坊ちゃんがお似合いですかね」
「俺は……」
「いつまでも女々しいこと言ってんじゃねえ!男ならきっちり決断してみろ。てめえはなんだ?サマナーだろうが!目的があるんだろ?強くなるんだろ?こんなところで燻ってないで、さっさと先へ行きやがれ!」
「……ヴィクトル、やってくれ」
徹は俯いたまま、震える声でだが、はっきりと言った。
「本当によいのだな?」
「ああ、やってくれ!」
今度こそ、毅然と顔を上げて徹は叫ぶように言う。
「承知した。では私の秘儀をとくと見るがいい」
「それでこそ俺が見込んだ旦那でさあ!」
行使される悪魔合体の秘儀。それがなされる直前のゴブリンの声と不細工な笑顔を徹は確かに聞き見た。知らず知らずの内に涙がこぼれるが、涙を拭い泣き言は言わず、儀式の全てをその目に焼き付ける。ここで目をそらしてしまったら、あの気のいい仲魔に顔向けできなくなると……。
凄まじい轟音が響き、装置の冷却の際に排出された蒸気が視界を閉ざし、一瞬の後に晴れ渡る。エンジェルとゴブリンがいた魔法陣の中心に位置する魔法陣に、そのどちらでもない悪魔はいた。
妖鳥ケライノー。タウマースの娘で、アエロー、オキュぺテーとともに『ハピュルアイ三姉妹』と呼ばれるギリシア神話の悪魔である。
「私はケライノー。随分幼いけど、貴方が私のサマナー?」
「……ああ。俺がお前のサマナーだ」
答える徹だが、必死に湧き上がる落胆を隠そうと顔を伏せる。どちらの意思でもない、強いていえばそれらをも内包した新しい何かとして新生したのだろう。望んだ結果ではなく、最悪の結果でもない。だが、この悪魔に罪はない。だから、こんな表情はみせるべきではない。むしろ歓迎の意を示すべきなのだから。
「……何しょぼくれた顔してるの……よ?!ううん、違うな。あ、ああ、よし!
何、辛気臭い顔してるんすか旦那!それでも俺のサマナーなんすか!」
突如、変わった口調。そして、聞き覚えのある呼ばれ方に徹は驚愕と共に顔を上げる。そこには、なんともいえない表情で佇む悪魔がいた。
「合体直後で、あっちの概念にひきづられちまいましたが、あっしはきっちり戻ってきましたよ。
おっと、お約束を忘れてましたぜ。あっしは妖鳥ケライノー、今後ともヨロシク」
姿形は似ても似つかないが、その下手くそな笑顔
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